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2月と8月、売上が3割落ちても家賃は変わらない──飲食店の閑散期を乗り切る7つの対策

飲食店にとって2月と8月は「ニッパチ」と呼ばれる閑散期。売上が通常月より20〜30%落ちるが、家賃も人件費も変わらない。閑散期に赤字を出さないための仕込み量の調整、限定メニュー、テイクアウト強化、アイドルタイムの活用まで。個人飲食店が今すぐできる閑散期対策を解説。

飲食店閑散期売上対策2月8月ニッパチ集客個人店2026年
目次

「ニッパチ」──飲食店オーナーが最も嫌いな言葉

2月の平日、夜8時。

店内にお客さんは2組。

「あれ、今日も暇だな……」

1月は年始の宴会で忙しかった。12月は忘年会で毎日満席だった。

でも2月になると、まるでスイッチが切れたように客が来なくなる。

家賃25万円。アルバイトの給料20万円。光熱費12万円。これらは1人もお客さんが来なくても発生する。

閑散期に「待っているだけ」では、確実に赤字になる。


閑散期のダメージを数字で見る

月商200万円の居酒屋が、2月に売上が25%落ちた場合。

項目通常月閑散期(▲25%)差額
売上200万円150万円▲50万円
食材費(30%)60万円45万円▲15万円
人件費50万円50万円(変わらない)0円
家賃25万円25万円(変わらない)0円
光熱費12万円11万円▲1万円
その他13万円12万円▲1万円
利益40万円7万円▲33万円

売上が50万円減っても、固定費は変わらない。 減るのは食材費だけ。

結果、利益は40万円→7万円。オーナーの取り分がほぼ消える。

これが閑散期の怖さだ。売上が25%減ると、利益は80%以上消える。


対策1: 仕込み量を「天気×曜日」で絞る

閑散期に最もやってはいけないのは、通常月と同じ量を仕込むこと。 来客が減っているのに仕込み量が同じなら、廃棄ロスが増えるだけ。

やることはシンプル:

  1. 先月の曜日別来客数を見る
  2. 閑散期は通常月の**70〜80%**で仕込む
  3. 天気予報を毎朝確認し、雨の日はさらに**10〜20%**減らす
曜日通常月の来客数閑散期の目安
月曜30人22〜24人
火曜35人25〜28人
水曜35人25〜28人
木曜40人28〜32人
金曜55人40〜44人
土曜60人45〜48人
日曜45人32〜36人

仕込み量を20%減らすだけで、月の食材廃棄が3〜5万円減る。


対策2: 閑散期限定メニューで「理由」を作る

閑散期に来てもらうには、「今行く理由」が必要。

効果的な限定メニューのパターン

パターン効果
季節限定2月限定「とろける牡蠣鍋」旬の食材で「今だけ」感
平日限定平日ディナー限定「前菜3種盛り無料」平日の来客を底上げ
数量限定1日5食限定「特製煮込みハンバーグ」希少性で来店動機に
コラボ近隣の酒屋と「地酒×おつまみセット」新規客の取り込み

限定メニューの原価計算は必ず事前にやる。 集客のために原価率の高いメニューを出しすぎると、売上は増えても利益は増えない。


対策3: テイクアウト・デリバリーで売上を補填

閑散期は店内の客が減る。ならば店の外で売る。

方法初期費用月の追加売上目安
テイクアウト弁当(店頭販売)容器代のみ5〜15万円
Uber Eats・出前館0円(手数料型)10〜30万円
冷凍食品の通販機材・パッケージ5〜20万円

デリバリーの手数料(30〜35%)を考慮したデリバリー用の原価計算が必須。通常メニューの価格設定のままデリバリーに出すと、利益がほぼゼロになるケースが多い。


対策4: 常連客にアプローチする

閑散期に来てくれるのは常連客。新規客を呼ぶより、常連客に来てもらう方が効率が良い。

LINE公式アカウント

  • 月1回、閑散期限定メニューの告知
  • 「1月中にご来店いただいたお客様限定」のクーポン
  • 「2月の平日、ドリンク1杯サービス」

手書きのDM(ハガキ)

  • 年末の忘年会シーズンに来てくれたお客さんに
  • 「2月の新メニュー、ぜひ試しに来てください」
  • 手書きは開封率・来店率が圧倒的に高い

1通63円のハガキで、客単価4,000円の常連が来てくれれば、投資効率63倍。


対策5: シフトを閑散期用に組み直す

スタッフを減らすのではなく、シフトの時間配分を変える。

時間帯通常月閑散期
ランチ(11:00-14:00)3人2人
アイドルタイム(14:00-17:00)2人1人
ディナー(17:00-22:00)3人2人

1日1人×3時間分のシフトを減らすと、時給1,100円×3時間×25日=月82,500円の削減。


対策6: アイドルタイムを収益化する

14:00〜17:00の暇な時間帯を「売上ゼロの時間」にしない。

アイデア内容
カフェ利用ランチ後にコーヒー+デザートで客単価UP
おやつメニュー15:00台に「スイーツプレート」
作り置き惣菜の販売テイクアウト用の惣菜を準備
貸し切り・イベント会議やワークショップのスペース貸し

対策7: 閑散期を「投資期間」にする

売上は落ちるが、時間には余裕ができる。この時間を繁忙期への準備に使う。

やること効果
メニューのABC分析死に筋メニューを外し、原価率を改善
厨房の大掃除衛生管理の強化、機器の故障予防
スタッフの教育新人の研修、接客トレーニング
新メニューの試作春の新メニューを仕込む
SNS・Googleマップの更新写真の更新、口コミへの返信
仕入れ先の見直し相見積もりで食材費を下げる

閑散期にメニューのABC分析をやって死に筋を外した結果、翌月の原価率が2%下がったという事例は珍しくない。月商200万円なら月4万円、年間48万円の効果。


閑散期の心構え

閑散期は毎年必ず来る。 避けることはできない。

できるのは──

  1. 来ることを前提に、繁忙期の利益を蓄えておく
  2. 変動費を絞って、赤字幅を最小化する
  3. 時間を使って、繁忙期の準備をする

閑散期を「暇な月」ではなく「利益を守り、次の繁忙期に備える月」と捉えられるかどうか。 それが、年間通して利益を出せる店と出せない店の違いだ。


今すぐやること

  • 過去1年の月別売上を並べて、閑散期がいつか把握する
  • 閑散期の仕込み量を通常月の70〜80%に設定する
  • LINE公式アカウントで常連客に閑散期メニューを告知する
  • アイドルタイムの活用を1つ試す
  • 閑散期にメニューのABC分析をやる

KitchenCostは、メニューごとの原価率を計算できるアプリです。閑散期こそ、売れ筋と死に筋を見直すチャンス。原価率の高いメニューを整理するだけで、翌月からの利益が変わります。

よくある質問

飲食店の閑散期はいつですか?

飲食業界で最も売上が落ちるのは2月と8月で、「ニッパチ」と呼ばれます。2月は正月の出費後で財布の紐が固くなり、寒さで外出も減る。8月はお盆休みで都市部から人が減り、暑さで食欲も落ちる。業態によっては1月後半(正月疲れ)、5月のGW後、9月(夏休み明け)も落ち込むことがあります。一般的に閑散期は通常月より売上が20〜30%下がります。月商200万円の店なら、閑散期は140〜160万円。この落差に備えることが大事です。

閑散期に売上が落ちても利益を出すにはどうすればいいですか?

2つのアプローチがあります。①変動費を絞る:仕込み量を来客数に合わせて減らし、廃棄ロスを最小化する。パートのシフトを閑散期用に組み直す。②売上の落ち込みを補填する:テイクアウトやデリバリーで新規売上を作る、閑散期限定メニューで話題を作る、常連客にDMやLINEで来店を促す。最も即効性があるのは①の変動費削減で、仕込み量を20%減らすだけで月3〜5万円の食材費を節約できます。

閑散期にやってはいけないことはありますか?

3つのNGがあります。①値引き合戦に走る:安売りで客を集めると、閑散期が終わっても元の価格に戻しにくくなる。一度下げた価格は上げにくい。②スタッフを解雇する:閑散期だけの理由で解雇すると、繁忙期に人が集まらず苦しむ。シフト調整で対応する。③広告費を大幅に増やす:閑散期は市場全体が冷えているため、広告効率が悪い。費用対効果を計算してから投資すること。

閑散期にやっておくべき「仕込み」は?

閑散期は時間に余裕があるので、繁忙期に向けた準備に充てましょう。①メニューの見直し(売れ筋・死に筋のABC分析)、②厨房の大掃除と設備メンテナンス、③スタッフの教育・研修、④新メニューの試作と原価計算、⑤SNSやGoogleマップの情報更新、⑥仕入れ先の見直し・価格交渉。特に③と④は繁忙期には絶対にできないこと。閑散期を『暇な時期』ではなく『投資の時期』と捉えると、繁忙期の売上が変わります。

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