「値上げはしたい。でも客離れが怖い」
このときに出てくるのが、 「価格は据え置きで量を少し減らす」という選択です。
やり方しだいで有効ですが、 感覚で進めると逆に利益が落ちます。
先に結論
- 量を減らす前に、
1皿粗利と許容販売減少率を計算してください。 - 改善した原価より販売減が大きいと、月の手残りは減ります。
- まずは主力1品だけ2週間テストが安全です。
2026年、この判断が増えている理由
飲食店ドットコムの調査では、 2023年時点で「販売価格は据え置きで量を減らした」が 39.9%。
さらに「販売価格を上げていない店」に限ると、 量を減らして対応した割合は 58.3% でした。
一方で、同じ調査群では 仕入れ総額が前年より上がった店が 90.8%、 11%以上の上昇が 66.7%。
帝国データバンクの2025年データでも、 飲食店の価格転嫁率は 32.3%(全業種平均 39.4%)で低めです。
ここでいう 価格転嫁 は、
上がったコストを販売価格に反映することです。
転嫁しにくいからこそ、量調整の精度が重要になります。
まず覚える計算は3つだけ
1皿原価 = 1g単価 × 使用量(g)
1皿粗利 = 売価 - 1皿原価
月間粗利 = 1皿粗利 × 月販売数
そして、ここが重要です。
許容販売減少率 = 1 - (旧1皿粗利 ÷ 新1皿粗利)
これは、 「販売数が何%まで下がっても、利益を維持できるか」を見る数字です。
実例(カレー1品で試算)
- 売価: 980円
- 旧1皿原価: 420円(旧1皿粗利 560円)
- 新1皿原価: 390円(新1皿粗利 590円)
- 月販売数: 600食
旧月間粗利 = 560 × 600 = 336,000円
新月間粗利(販売数変化なし)= 590 × 600 = 354,000円
差額 = +18,000円
次に許容ラインです。
許容販売減少率 = 1 - (560 ÷ 590)
= 5.1%
つまり、 販売数が 5.1%超 下がるなら、この施策は逆効果です。 5%以内に収まる見込みがあるかを、先に見ておく必要があります。
失敗しにくい進め方(2週間)
- 主力1品だけで実施(全品同時に変えない)
- 量を減らす代わりに、盛り付け見栄えを整える
- 毎日3つだけ記録する
見る数字はこれだけです。
販売数 客単価 クレーム/指摘件数
2週間で 販売減が許容ライン以内なら継続、 超えるなら戻すか価格改定に切り替えます。
店頭で使える短文(そのままOK)
食べきりやすさを考え、人気メニューの一部を適量サイズに見直しました。
味と品質はこれまで通りです。
「コストのためです」より、 お客さまメリットを短く伝えるほうが受け入れられやすいです。
今週やること
- 主力1品の旧原価・新原価を出す
- 許容販売減少率を計算する
- 2週間テストの対象を1品にしぼる
- 販売数・客単価・指摘件数を毎日記録する
- 14日後に継続/中止を判断する
まとめ
量を減らす施策は、 「やる/やらない」より 「どこまで下がったら失敗か」を先に決めるのがポイントです。
数字でラインを引いてから試す。 これだけで、感覚頼みの失敗はかなり減らせます。