「補助金」と聞いて、自分には関係ないと思っていないか?
「補助金って、申請書類が大変そう」「うちみたいな小さな店には無理でしょ」
──こう思っている個人飲食店のオーナーは多い。
でも、小規模持続化補助金は、まさに「あなたのような小さな店」のために作られた制度だ。
- 対象: 従業員5人以下の小規模事業者(個人飲食店の大半が該当)
- 補助額: 最大50万円(条件次第で200万円)
- 補助率: かかった費用の3分の2が戻ってくる
- 使い道: 看板、チラシ、HP制作、新メニュー開発の試作費まで
つまり、75万円で看板を作り替えたら、50万円が戻ってくる。 実質25万円で新しい看板が手に入る計算だ。
何に使えるのか?──飲食店でよくある使い道
| 使い道 | 具体例 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 看板・外装 | 店名看板の作り替え、A型看板の新設 | 20〜50万円 |
| チラシ・ポスティング | 新メニューの告知チラシ1万部 | 5〜15万円 |
| ホームページ制作 | お店のHP新規作成、予約機能追加 | 15〜40万円 |
| メニュー表 | 写真入りメニュー表の制作 | 5〜20万円 |
| 新メニュー開発 | 試作用の食材費、外部講師への謝金 | 10〜30万円 |
| 店舗改装(集客目的) | テイクアウト窓口の新設、入口の改修 | 30〜100万円 |
注意: 日常の仕入れ費用や、既存の光熱費・家賃は対象外。あくまで「新しく売上を伸ばすための取り組み」に使える費用が対象。
申請の流れ──思ったより単純だ
ステップ1: 商工会議所に相談する(0円)
最寄りの商工会議所(または商工会)に電話して「小規模持続化補助金を使いたい」と伝える。
- 経営指導員が無料でアドバイスしてくれる
- 事業計画書の書き方を教えてもらえる
- 「事業支援計画書」という推薦書を発行してもらう(申請に必須)
商工会議所の会員でなくても相談できる。非会員でも申請可能。
ステップ2: 事業計画書を書く
A4で5〜8ページ程度。中身は4つだけ。
① 自社の概要と強み 「創業8年の和食居酒屋。地元産の魚を毎朝仕入れ、刺身の鮮度には自信がある。」
② 現在の課題 「駅の反対側に新しい居酒屋ができ、新規客が減っている。通りからの視認性が低く、初めてのお客さんが気づきにくい。」
③ やりたいこと(補助事業の内容) 「①通り沿いにLED看板を設置し視認性を上げる ②Googleマップに連動するHPを作成 ③新しいランチメニューのチラシを近隣にポスティング」
④ 期待する効果(数字で書く) 「看板設置で通行人の入店率が5%→10%に向上、月15万円の売上増を見込む。HP経由の予約が月10件増え、月8万円の売上増。」
数字があるかないか、それが採択と不採択の分かれ目。
ステップ3: 電子申請する
2026年現在、申請はjGrants(電子申請システム)のみ。紙での申請は不可。
- GビズIDプライムを取得する(無料、取得に2〜3週間かかる)
- jGrantsにログインし、事業計画書をアップロード
- 商工会議所の「事業支援計画書」も一緒に添付
GビズIDの取得に時間がかかるので、申請を考えたらまずGビズIDを取得すること。 締切直前に慌てても間に合わない。
ステップ4: 採択後、事業を実施
採択されたら、計画書に書いた内容を実施する。
- 実施期間は約6ヶ月
- 見積書、発注書、請求書、領収書をすべて保管する
- 写真も撮っておく(看板のビフォー・アフターなど)
ステップ5: 実績報告書を提出 → 入金
事業完了後、実績報告書を提出。審査を経て、補助金が振り込まれる。
採択されるコツ──不採択の典型パターンを避ける
不採択になる計画書の特徴
| パターン | 例 | 改善策 |
|---|---|---|
| 数字がない | 「売上が増えると思う」 | 「月15万円の売上増を見込む」 |
| 強みと取り組みが繋がらない | 「刺身が強み」→「HPを作る」 | 「刺身が強み」→「鮮度の写真を載せたHPで予約を増やす」 |
| 誰にでも当てはまる内容 | 「集客のためにチラシを配る」 | 「半径500mのマンション3,000世帯にランチチラシを配布」 |
| 効果の根拠がない | 「HPで集客が増える」 | 「近隣の類似店のHP開設後、月10件の予約増加実績を参考に」 |
採択される計画書の共通点
- 「誰に」「何を」「どうやって」が明確
- 自社の強みから逆算した取り組み
- 効果を数字で見込んでいる
- 写真や図を使って視覚的にわかりやすい
補助金額を200万円まで引き上げる方法
通常枠は50万円だが、以下の条件を満たすと上限が上がる。
| 枠 | 上限額 | 条件 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 50万円 | 条件なし |
| 賃金引上げ枠 | 200万円 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上に設定 |
| 卒業枠 | 200万円 | 従業員を増やして小規模事業者の定義から卒業する |
| 後継者支援枠 | 200万円 | アトツギ甲子園のファイナリスト |
| 創業枠 | 200万円 | 過去3年以内に「特定創業支援等事業」を修了 |
最も現実的なのは「賃金引上げ枠」。 アルバイトの時給を地域別最低賃金+30円以上にしていれば申請できる。
例えば、東京都の最低賃金が1,163円(2025年10月現在)なら、時給1,193円以上を設定していればOK。実質的にはすでに条件を満たしている店も多い。
よくある疑問
Q. 確定申告の青色・白色は関係ある?
関係ない。白色申告でも申請可能。ただし、「確定申告書」は提出書類として必要。
Q. 開業1年目でも使える?
使える。ただし、確定申告書がない場合は「開業届の写し」で代用できる場合がある。商工会議所に確認しよう。
Q. 他の補助金と併用できる?
原則として、同じ経費に対する二重補助はできない。ただし、IT導入補助金で「POSレジ」、持続化補助金で「看板」のように、異なる経費に対してそれぞれの補助金を使うことは可能。
Q. 飲食店で一番使われている使い道は?
経済産業省の採択事例によると、①HP制作・リニューアル ②チラシ・ポスティング ③看板・外装 の3つが圧倒的に多い。
今すぐやること──チェックリスト
- GビズIDプライムを申請する(取得に2〜3週間かかる)
- 最寄りの商工会議所に電話する(「持続化補助金を使いたい」と伝える)
- 次回の公募締切を確認する
- 自分の店の強みを3つ書き出す
- 「やりたいこと」と「期待する売上増」を数字で書く
補助金は「知っている人だけが得をする」制度だ。 知らなければ、75万円で作った看板は75万円のまま。知っていれば、実質25万円になる。
その差50万円。使わない手はない。
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