確定申告の季節、毎年同じ疑問が浮かぶ。
「店で食べた分って、いくらで計上するの? 原価? 売価? その間?」
結論から言うと、国税庁が示している基準があります。 それを知って固定するだけで、毎年の迷いがなくなります。
先に結論
- 自家消費は「仕入価額を下回らない」ことがまず大前提
- 迷ったら「通常販売価額の70%」を基準に。ただし仕入価額が上回る場合はそちらで計上
- 店主本人分と従業員分は同じ表に混ぜないこと
なぜ今この話が大事なのか
2025年の飲食店倒産は900件で過去最多(帝国データバンク)。 価格転嫁率は**32.3%**で全業種平均を下回っています。
2026年2月だけで飲食料品の値上げは674品目。酒類・飲料は298品目。 仕入れ値が頻繁に動く時期だからこそ、自家消費の計上ルールを固定しておかないと、申告時に数字が合わなくなります。
用語をかんたんに
- 自家消費: 店の商品を店主自身の生活で使うこと
- 通常販売価額: お客さんに売っている値段
- 仕入価額: その商品にかかった仕入れの金額
ルールのポイント
消費税の考え方
国税庁 No.6317では、個人事業者の自家消費は原則「時価」。 ただし棚卸資産は、仕入価額以上かつ通常販売価額のおおむね50%以上で申告する扱いも認められています。
70%ルール
国税庁の質疑応答事例では、**通常販売価額の70%**で計上する方法が、仕入価額を下回らない限り認められると示されています。
経費の注意点
国税庁 No.2210では、家事上の費用は必要経費にならないとされています。 店主本人分は従業員向けの食事管理と分けて運用してください。
実務で使うルール
計上額 = max(仕入価額, 通常販売価額 × 70%)
「毎回時価を厳密に出すのは大変」という店は、この式で固定するのが現実的です。
数字で見てみる
ケース1: 通常販売価額 1,000円 / 仕入価額 420円
1,000 × 70% = 700円
仕入価額420円 < 700円 → 700円で計上
ケース2: 仕入価額が760円に上がった場合
1,000 × 70% = 700円
仕入価額760円 > 700円 → 760円で計上(仕入価額を下回らない)
月末にまとめて見直すときも、このルールなら迷いません。
ありがちな失敗
- 店主分と従業員分を同じ表で管理している
- 仕入価額より低い金額で計上してしまう
- 計上ルールが月によって変わる
- 年末にまとめて計算しようとして記録が足りない
今週やること
- 自家消費の対象メニューを決める
- 「通常販売価額・仕入価額・食数」を毎日記録する
- 月次の計上ルールを1つに固定する
- 店主分と従業員分を分ける
- 月末に税理士へ確認する項目をメモしておく
まとめ
自家消費の計上は、完璧な仕訳から始めなくて大丈夫です。
「仕入価額を下回らない」「ルールを固定する」「店主分を分ける」。 この3つを守るだけで、申告前の混乱はかなり減ります。