「SDGs」という言葉にアレルギーがある飲食店オーナーへ
SDGs。サステナブル。カーボンニュートラル。
「知らんがな。今月の家賃を払うので精一杯なのに」 ──その気持ち、よくわかる。
でも、こう言い換えたらどうだろう。
- フードロスを減らす = 仕入れを減らす = 利益が増える
- 電気のムダを減らす = 光熱費が下がる = 利益が増える
- 水のムダを減らす = 水道代が下がる = 利益が増える
SDGsの本質は「ムダをなくすこと」。 そしてムダがなくなれば、利益が増える。
環境に優しいことをすると、財布にも優しくなる。これが個人飲食店にとっての環境対応の正体だ。
数字で見る──年間いくら得するか?
月商200万円の個人飲食店(15席、スタッフ3人)で試算する。
| 取り組み | 初期費用 | 年間の効果 |
|---|---|---|
| フードロス30%削減 | 0円 | ▲36万円(仕入れ減) |
| LED照明に交換 | 3万円 | ▲4.5万円(電気代15%減) |
| つけ置き洗い徹底 | 0円 | ▲1.2万円(水道代10%減) |
| 揚げ油のろ過 | 5,000円(ろ過器) | ▲3万円(油の交換回数半減) |
| 生ゴミの水切り | 0円 | ▲1.5万円(ゴミ袋・回収費削減) |
合計: 初期費用3.5万円 → 年間約46万円のコスト削減
これは利益の上乗せと同じ意味だ。売上を46万円増やすのは大変だが、ムダを減らすのは今日からできる。
今すぐできること──初期費用ゼロの7つの対策
1. 仕込み量を「曜日×天気」で記録する
月曜の雨の日と、金曜の晴れの日では来客数が全然違う。
1週間、来客数を記録するだけで仕込みの精度が上がる。「たぶんこのくらい」で仕込んでいるなら、それが一番のムダの原因だ。
2. 先入れ先出し(FIFO)を徹底する
新しい食材を奥に、古い食材を手前に。
ルールを決めるだけ。 冷蔵庫に日付テープ(100均で買える)を貼って管理する。
3. 端材メニューを作る
- 大根の皮 → きんぴら
- 魚のアラ → あら汁
- キャベツの芯 → コールスロー
- パンの耳 → ラスク
「まかない」にするだけでも食材費は減る。 メニュー化すれば売上にもなる。
4. 閉店前の値引き販売
閉店1時間前に「本日のおすすめ」として余りそうなメニューを値引きで出す。
廃棄するよりもずっと良い。売上0円か、値引きでも売上があるか──答えは明らかだ。
5. つけ置き洗いの習慣化
食器や調理器具をすぐに洗うのではなく、まずつけ置きする。
汚れが落ちやすくなり、水の使用量が減る。洗い時間も短縮され、スタッフの負担も減る。
6. 揚げ油のろ過
揚げ油を毎日ろ過すると、交換頻度を2倍に延ばせる。 1回の油代が2,000円なら、月4回の交換が2回になり、月4,000円の節約。
7. 生ゴミの水切り
生ゴミの重量の約80%は水分。水をしっかり切るだけでゴミの量が大幅に減り、回収費用やゴミ袋代が下がる。
少しの投資でさらに効果が出る対策
| 対策 | 投資額 | 年間効果 |
|---|---|---|
| LED照明に交換 | 1〜5万円 | 電気代15%減 |
| 節水コマの設置 | 500〜1,000円 | 水道使用量20%減 |
| 冷蔵庫のカーテン設置 | 1,000〜3,000円 | 電気代3〜5%減 |
| 食品ロス削減アプリ(TABETE等) | 無料〜月額数千円 | 閉店前の売れ残りを販売 |
TABETEなどのフードロス削減アプリは、閉店前に余った料理を近くのユーザーに割引で販売できるサービス。廃棄がゼロになるだけでなく、新規客の獲得にもつながる。
「環境に配慮しています」は集客にもなる
最近の消費者、特に20〜30代は**「環境に配慮している店を選びたい」**という意識が高まっている。
店頭やメニューに以下を書くだけでイメージが変わる。
- 「当店は食品ロス削減に取り組んでいます」
- 「地元の食材を優先的に使用しています」
- 「プラスチックストローの代わりに紙ストローを使用しています」
Googleマップの口コミに「環境に配慮している」と書かれれば、それが集客のきっかけになる。
大企業のような大げさなSDGs宣言は不要。**「ムダを減らしています」**と正直に伝えるだけでいい。
行政の支援制度も使える
環境対応の取り組みには、補助金や認定制度が使える場合がある。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 食品ロス削減推進法に基づく自治体の認定 | 「食品ロス削減に取り組む店舗」として自治体のHPに掲載される |
| 省エネ設備の補助金 | LED照明や高効率エアコンの導入に補助が出る自治体あり |
| 小規模持続化補助金 | 環境対応メニューの開発や告知チラシの制作費に使える |
最寄りの商工会議所や自治体の環境課に**「飲食店の環境対応で使える支援はありますか?」**と聞いてみよう。
今すぐやること
- 今週の廃棄食材を記録する(何を・どのくらい捨てたか)
- 仕込み量を「曜日×天気」で1週間記録する
- 冷蔵庫の中身に日付テープを貼る
- つけ置き洗いを明日から試す
- TABETEなどのフードロス削減アプリを調べる
環境対応は利益対策だ。 「SDGs」という言葉にアレルギーがあっても、「年間40万円のコスト削減」には興味があるはずだ。
KitchenCostは、食材の仕入れと使用量を記録して原価を見える化するアプリです。どの食材が余っているか、どのメニューの原価が高いかがわかれば、フードロスと仕入れのムダは自然と減っていきます。