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再エネ賦課金が過去最高の3.98円──飲食店の電気代、「見えない値上げ」の正体と5つの対策

2025年5月から再エネ賦課金が過去最高の1kWhあたり3.98円に。さらに2026年4月には大手電力10社すべてが電気料金を値上げ。電気代補助金も終了見通し。月5〜10万円の電気代がかかる飲食店にとって年間数万円の負担増に。個人飲食店が今からできる電気代対策と、原価への正しい反映方法を解説。

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目次

「電気代、また上がったの?」

大阪で20席の定食屋を切り盛りしている50代の店主。毎月届く電気料金の明細を、最近は開くのが怖い。

「先月より3,000円高い。食材もガスも上がってるのに、電気代まで……」

値上げの要因は複数あるが、中でも知らないうちに増えているのが「再エネ賦課金」だ。


再エネ賦課金とは何か──「見えない電気代」の正体

電気料金の3つの構成要素

電気料金の明細を見たことがあるだろうか。実は、電気代は3つの要素でできている。

構成要素内容自分で変えられるか
基本料金+従量料金電力会社に払う料金プラン変更・会社切替で可能
燃料費調整額石油・天然ガス価格に連動変えられない
再エネ賦課金再生可能エネルギー普及の費用変えられない

再エネ賦課金は、太陽光発電や風力発電を支えるために、電気を使うすべての人から集めるお金だ。国が毎年単価を決め、電力会社に関係なく一律で適用される。

つまり、電力会社を切り替えても、再エネ賦課金だけは安くならない。

過去最高の3.98円──12年で18倍になった

年度再エネ賦課金(円/kWh)備考
2012年(制度開始)0.22
2016年2.25
2020年2.98
2023年1.40政府補助で一時下落
2024年3.49
2025年3.98過去最高

12年前は1kWhあたり0.22円だったものが、今は3.98円。約18倍だ。


飲食店の電気代にいくら影響するのか──業態別で計算

業態別の月間電力使用量と再エネ賦課金の負担

業態月間電力使用量(目安)再エネ賦課金(月)再エネ賦課金(年)
カフェ(10坪)1,000〜1,500 kWh3,980〜5,970円約5〜7万円
定食屋(15坪)1,500〜2,500 kWh5,970〜9,950円約7〜12万円
居酒屋(20坪)2,000〜4,000 kWh7,960〜15,920円約10〜19万円
ラーメン店2,500〜5,000 kWh9,950〜19,900円約12〜24万円
焼肉店3,000〜6,000 kWh11,940〜23,880円約14〜29万円

一般家庭(月260kWh)の再エネ賦課金は月約1,035円。飲食店はその4〜20倍を払っている。

前年度からの増加分だけでも……

2024年度の3.49円から2025年度の3.98円へ、0.49円の上昇。

業態月間電力使用量賦課金増加分(月)賦課金増加分(年)
カフェ1,200 kWh588円約7,000円
定食屋2,000 kWh980円約12,000円
居酒屋3,000 kWh1,470円約18,000円
ラーメン店4,000 kWh1,960円約24,000円

「たかが年間1〜2万円」と思うかもしれない。でもこれは再エネ賦課金だけの話。


2026年4月以降──「三重の値上げ」が飲食店を襲う

値上げ①:再エネ賦課金(過去最高3.98円が継続or上昇)

2026年度の再エネ賦課金は2026年3月時点で未発表だが、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)のコストが積み上がっているため、横ばいまたはさらに上昇する見通しだ。

値上げ②:電力会社10社すべてが料金改定

2026年4月の検針分で、北海道電力から沖縄電力まで大手10社すべてが電気料金を値上げした。託送料金(送配電の費用)の見直しが主な要因だ。

値上げ③:電気代補助金の終了

政府の電気・ガス料金激変緩和措置(補助金)は2026年1〜3月使用分で実施されたが、4月以降は未定。過去の補助金では低圧契約で1kWhあたり2.5〜4円の値引きがあった。

もし補助金が終了すると──

月2,000kWh使用の定食屋なら、補助金分だけで月5,000〜8,000円の負担増。年間で6〜10万円が上乗せされる。


個人飲食店が今からできる5つの電気代対策

対策①:電力会社・料金プランの見直し(投資ゼロ)

もっとも手軽で効果的。新電力を含めた料金比較を行い、基本料金と従量料金を下げる。

項目目安
削減効果月額の3〜10%
初期費用0円
手間Web申込で完了、工事なし
注意点再エネ賦課金は変わらない

対策②:LED照明への全面切り替え

まだ蛍光灯や白熱灯を使っているなら、LEDに替えるだけで照明の消費電力が約50%減

項目蛍光灯LED
消費電力(40W形)38W18W
年間電気代(1本、12h/日)約6,000円約2,800円
寿命約6,000時間約40,000時間

店内に蛍光灯が20本あるなら、LED化で年間約6万円の削減。初期費用は1本1,500〜3,000円程度で、1〜2年で元が取れる。

対策③:冷蔵庫・冷凍庫の運用見直し

飲食店の電力消費の**30〜40%**を占めるのが冷蔵・冷凍設備。

  • 庫内温度を1℃上げると、消費電力が約2〜3%減少
  • 扉の開閉回数を減らす(仕込み前にまとめて取り出す)
  • コンデンサー(放熱フィン)の清掃を月1回行う → 効率10〜15%改善
  • ゴムパッキンの劣化チェック → 隙間から冷気が漏れると電力浪費

コスト:0円。やるかやらないかだけ。

対策④:エアコンの使い方を見直す

  • フィルター清掃を2週間に1回 → 消費電力5〜10%削減
  • 室外機の周囲を片付ける(排熱の妨げが効率低下の原因)
  • 営業開始30分前に弱運転で冷やし始め、強運転を避ける
  • 10年以上前のエアコンなら買い替えで30〜40%削減(省力化投資補助金も対象になる場合あり)

対策⑤:電気代を原価に正しく反映する

対策をしても上がる分は上がる。大事なのは、電気代の上昇を原価計算に反映することだ。

電気代の原価反映の考え方:

月の電気代 ÷ 月の営業日数 ÷ 1日の提供食数 = 1食あたりの電気代

例)月の電気代8万円、月25日営業、1日80食の場合:

80,000 ÷ 25 ÷ 80 = 40円/食

この「40円/食」を、年間で8万円上がるなら──

(80,000 + 6,700) ÷ 25 ÷ 80 ≒ 43円/食

1食あたり3円の増加。メニュー価格を10〜20円上げれば余裕で吸収できる水準だ。


まとめ:「見えない値上げ」を見える化する

再エネ賦課金は過去最高の3.98円/kWh。電力10社すべてが値上げ。補助金も終了の見通し。

飲食店の電気代は「三重の値上げ」に直面している。でも、正体が分かれば対策は打てる。

今週やること:

  • 直近3ヶ月の電気料金明細を引っ張り出す
  • 月間のkWh使用量を確認する
  • 再エネ賦課金の金額を計算してみる(kWh × 3.98円)
  • 電力会社の切り替えを検討する(Web比較サイトで5分)
  • 1食あたりの電気代を計算し、原価表に組み込む

電気代を含めた光熱費を正確に把握しておけば、「なんとなく利益が減った」ではなく「何にいくらかかっているか」が見える。KitchenCostで日々の原価管理をしておくと、光熱費込みのトータルコストで判断できるようになる。

よくある質問

再エネ賦課金とは何ですか?なぜ飲食店に影響があるのですか?

再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及を支えるために、電気を使うすべての人が電気料金に上乗せして支払う費用です。1kWhあたりの単価が決まっていて、電気を多く使うほど負担が大きくなります。飲食店は一般家庭の3〜10倍の電力を使うため、再エネ賦課金の影響も数倍になります。2025年度は過去最高の3.98円/kWhとなり、月2,000kWh使う飲食店なら月約8,000円、年間約96,000円が再エネ賦課金だけで発生する計算です。

2026年の電気代は具体的にどのくらい上がりますか?

2026年4月には大手電力会社10社すべてが電気料金を値上げしています。再エネ賦課金は2025年度で3.98円/kWh(前年度比+0.49円)。さらに託送料金(送配電にかかる費用)の見直しや燃料費調整額の変動もあり、総合的には前年比で5〜10%の電気料金上昇が見込まれています。月の電気代が8万円の飲食店なら、4,000〜8,000円の月額増加になる計算です。年間では5〜10万円の負担増です。

電気代の補助金は2026年も使えますか?

政府による電気・ガス料金の激変緩和措置(補助金)は2026年1〜3月使用分で実施されましたが、4月以降の延長は未定です(2026年3月時点)。補助金があった期間は低圧で1kWhあたり2.5〜4円の値引きがありましたが、補助金が終了すると、この値引き分がそのまま電気代の増加として跳ね返ります。月2,000kWh使用の飲食店では、補助金終了だけで月5,000〜8,000円の負担増になる可能性があります。

飲食店で電気代を下げるために一番効果的な方法は何ですか?

投資ゼロでもっとも効果的なのは『電力会社の切り替え』です。新電力や料金プランの見直しで基本料金・従量料金を下げられる場合があり、工事不要で3〜10%の削減効果が期待できます。次に効果的なのはLED照明への切り替え(消費電力を約半分に)と、冷蔵庫の設定温度の適正化(庫内温度を1℃上げると消費電力約2〜3%減)です。大きな投資ができるなら、業務用エアコンの更新(10年以上前のものは30〜40%電力削減の可能性)がもっとも効果が大きいです。

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