「周りに合わせて800円」──その800円、利益出てる?
「近くのラーメン屋が800円だから、うちも800円」
「ランチはみんな1,000円以内だから、980円」
こうやって決めた値段、原価を計算して決めたわけじゃないでしょう?
実はその800円のラーメン、原価が320円かかっていて原価率40%。FL比率は65%を超えていて、売れば売るほど赤字に近づいている──なんてことが起きていないか?
価格設定の基本公式
原価率から売価を逆算する
売価 = 食材原価 ÷ 目標原価率
| 食材原価 | 目標原価率 | 売価(計算値) | 設定価格 |
|---|---|---|---|
| 150円 | 30% | 500円 | 500円 |
| 200円 | 30% | 667円 | 680円 |
| 250円 | 30% | 833円 | 830円 or 850円 |
| 300円 | 30% | 1,000円 | 980円 |
| 400円 | 30% | 1,333円 | 1,280円 or 1,380円 |
| 500円 | 30% | 1,667円 | 1,580円 or 1,680円 |
計算値をそのまま使うのではなく、端数を調整する。 833円→830円、1,333円→1,280円のように、お客さんが「払いやすい」と感じる価格にする。
業態別の目標原価率
| 業態 | 目標原価率 | 理由 |
|---|---|---|
| カフェ | 20〜25% | ドリンクの原価率が低い |
| ラーメン店 | 28〜33% | 麺・スープの仕込みにコスト |
| 居酒屋 | 28〜35% | 酒類で稼ぎ、料理は中程度 |
| 定食屋 | 30〜35% | ボリュームが求められる |
| 焼肉店 | 35〜45% | 肉の原価が高い |
| 寿司店 | 35〜45% | 魚の原価が高い |
| フレンチ・イタリアン | 28〜35% | 手間(人件費)で付加価値 |
大事なのは「メニュー全体の平均原価率」を目標に収めること。 個々のメニューの原価率はバラバラでいい。
「稼ぎ頭」と「目玉」を組み合わせる
全メニューを同じ原価率にする必要はない。
稼ぎ頭メニュー(原価率15〜25%)
| カテゴリ | 原価率の目安 | 例 |
|---|---|---|
| ソフトドリンク | 5〜10% | コーラ、ウーロン茶 |
| ハイボール・チューハイ | 15〜20% | ウイスキーソーダ |
| サラダ | 15〜25% | グリーンサラダ |
| スープ・味噌汁 | 10〜20% | 本日のスープ |
| デザート | 15〜25% | 自家製プリン |
| ライス(追加) | 5〜15% | 大盛り+100円 |
目玉メニュー(原価率35〜50%)
| カテゴリ | 原価率の目安 | 例 |
|---|---|---|
| 看板メニュー | 35〜45% | 特選和牛ステーキ |
| 刺身盛り合わせ | 40〜50% | 本日の鮮魚5種盛り |
| ランチセット | 35〜40% | 日替わり定食 |
目玉メニューで集客し、稼ぎ頭メニューで利益を確保する。 これがメニュー構成の基本戦略。
例:居酒屋のコースメニュー
| メニュー | 原価 | 売価 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| お通し(枝豆) | 30円 | 300円 | 10% |
| サラダ | 80円 | 480円 | 17% |
| 刺身3種盛り | 400円 | 980円 | 41% |
| 唐揚げ | 120円 | 580円 | 21% |
| 焼き鳥5本 | 200円 | 780円 | 26% |
| ハイボール×3 | 150円 | 1,350円 | 11% |
| 合計 | 980円 | 4,470円 | 22% |
刺身は原価率41%だが、ドリンクやお通しが利益を稼いでくれるので、全体では原価率22%。
価格の心理学──お客さんはこう感じている
端数効果
| 価格 | お客さんの感じ方 |
|---|---|
| 1,000円 | 「1,000円超えると高いな」 |
| 980円 | 「1,000円以下でお得」 |
| 950円 | 「980円より安い!」 |
| 800円 | 「ランチなら妥当」 |
たった20円の差(1,000円→980円)で、心理的な壁が消える。
松竹梅効果(3段階価格)
3つの価格帯があると、真ん中が最も選ばれやすい。
| グレード | ランチの例 | 選ばれる率 |
|---|---|---|
| 松(高い) | 特選ステーキ定食 1,580円 | 20% |
| 竹(中間) | 日替わり定食 980円 | 55% |
| 梅(安い) | ミニ丼 680円 | 25% |
「最も利益率の高いメニューを真ん中に置く」のが鉄則。
アンカー効果
メニューの最初に高いメニューを置くと、後のメニューが安く感じる。
「特選和牛ステーキ 3,800円」を見た後に「ハンバーグステーキ 1,280円」を見ると、「1,280円は安い」と感じる。 実際には1,280円は安くないのに。
原価率だけでなく「利益額」も見る
原価率が低くても、利益額が小さければ意味がない。
| メニュー | 売価 | 原価率 | 原価 | 利益額 |
|---|---|---|---|---|
| ソフトドリンク | 300円 | 10% | 30円 | 270円 |
| 和牛ステーキ | 3,800円 | 45% | 1,710円 | 2,090円 |
ソフトドリンクの原価率は低いが、1杯で270円の利益。和牛ステーキは原価率45%と高いが、利益額は2,090円。
原価率と利益額、両方を見てメニュー構成を決める。
価格設定チェックリスト
メニューの価格を決めるとき、以下を確認する。
- 食材原価を正確に計算したか?(1g単位で)
- 目標原価率を設定したか?(業態に合わせて)
- 原価÷目標原価率で売価を逆算したか?
- 競合店の価格帯と比較したか?
- お客さんの価格感覚に合っているか?
- 端数効果を使っているか?(1,000円→980円)
- 松竹梅の3段階価格を設定しているか?
- 稼ぎ頭メニューと目玉メニューのバランスを取っているか?
- メニュー全体の平均原価率が目標内に収まっているか?
- 利益額も確認したか?
今すぐやること
- 全メニューの食材原価を計算する
- 各メニューの原価率を算出する
- メニュー全体の平均原価率を出す
- 原価率が40%を超えているメニューがないか確認する
- ある場合、値上げか食材の見直しか量の調整で改善する
「なんとなくの価格設定」から「計算に基づいた価格設定」へ。 それだけで月の利益が数万円変わる。
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