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「なんとなく800円」で決めてないか?──飲食店のメニュー価格設定、原価から逆算する正しい方法

メニューの値段を『周りの店に合わせて』『なんとなく』で決めている飲食店は多い。でも原価率から逆算しないと、売れば売るほど赤字になるメニューが生まれる。原価率→売価の計算式、業態別の目標原価率、原価率の高いメニューと低いメニューの組み合わせ戦略、価格帯の心理学まで解説。

飲食店メニュー価格設定原価率売値プライシング個人店2026年
目次

「周りに合わせて800円」──その800円、利益出てる?

「近くのラーメン屋が800円だから、うちも800円」

「ランチはみんな1,000円以内だから、980円」

こうやって決めた値段、原価を計算して決めたわけじゃないでしょう?

実はその800円のラーメン、原価が320円かかっていて原価率40%。FL比率は65%を超えていて、売れば売るほど赤字に近づいている──なんてことが起きていないか?


価格設定の基本公式

原価率から売価を逆算する

売価 = 食材原価 ÷ 目標原価率
食材原価目標原価率売価(計算値)設定価格
150円30%500円500円
200円30%667円680円
250円30%833円830円 or 850円
300円30%1,000円980円
400円30%1,333円1,280円 or 1,380円
500円30%1,667円1,580円 or 1,680円

計算値をそのまま使うのではなく、端数を調整する。 833円→830円、1,333円→1,280円のように、お客さんが「払いやすい」と感じる価格にする。


業態別の目標原価率

業態目標原価率理由
カフェ20〜25%ドリンクの原価率が低い
ラーメン店28〜33%麺・スープの仕込みにコスト
居酒屋28〜35%酒類で稼ぎ、料理は中程度
定食屋30〜35%ボリュームが求められる
焼肉店35〜45%肉の原価が高い
寿司店35〜45%魚の原価が高い
フレンチ・イタリアン28〜35%手間(人件費)で付加価値

大事なのは「メニュー全体の平均原価率」を目標に収めること。 個々のメニューの原価率はバラバラでいい。


「稼ぎ頭」と「目玉」を組み合わせる

全メニューを同じ原価率にする必要はない。

稼ぎ頭メニュー(原価率15〜25%)

カテゴリ原価率の目安
ソフトドリンク5〜10%コーラ、ウーロン茶
ハイボール・チューハイ15〜20%ウイスキーソーダ
サラダ15〜25%グリーンサラダ
スープ・味噌汁10〜20%本日のスープ
デザート15〜25%自家製プリン
ライス(追加)5〜15%大盛り+100円

目玉メニュー(原価率35〜50%)

カテゴリ原価率の目安
看板メニュー35〜45%特選和牛ステーキ
刺身盛り合わせ40〜50%本日の鮮魚5種盛り
ランチセット35〜40%日替わり定食

目玉メニューで集客し、稼ぎ頭メニューで利益を確保する。 これがメニュー構成の基本戦略。

例:居酒屋のコースメニュー

メニュー原価売価原価率
お通し(枝豆)30円300円10%
サラダ80円480円17%
刺身3種盛り400円980円41%
唐揚げ120円580円21%
焼き鳥5本200円780円26%
ハイボール×3150円1,350円11%
合計980円4,470円22%

刺身は原価率41%だが、ドリンクやお通しが利益を稼いでくれるので、全体では原価率22%


価格の心理学──お客さんはこう感じている

端数効果

価格お客さんの感じ方
1,000円「1,000円超えると高いな」
980円「1,000円以下でお得」
950円「980円より安い!」
800円「ランチなら妥当」

たった20円の差(1,000円→980円)で、心理的な壁が消える。

松竹梅効果(3段階価格)

3つの価格帯があると、真ん中が最も選ばれやすい。

グレードランチの例選ばれる率
松(高い)特選ステーキ定食 1,580円20%
竹(中間)日替わり定食 980円55%
梅(安い)ミニ丼 680円25%

「最も利益率の高いメニューを真ん中に置く」のが鉄則。

アンカー効果

メニューの最初に高いメニューを置くと、後のメニューが安く感じる。

「特選和牛ステーキ 3,800円」を見た後に「ハンバーグステーキ 1,280円」を見ると、「1,280円は安い」と感じる。 実際には1,280円は安くないのに。


原価率だけでなく「利益額」も見る

原価率が低くても、利益額が小さければ意味がない。

メニュー売価原価率原価利益額
ソフトドリンク300円10%30円270円
和牛ステーキ3,800円45%1,710円2,090円

ソフトドリンクの原価率は低いが、1杯で270円の利益。和牛ステーキは原価率45%と高いが、利益額は2,090円。

原価率と利益額、両方を見てメニュー構成を決める。


価格設定チェックリスト

メニューの価格を決めるとき、以下を確認する。

  • 食材原価を正確に計算したか?(1g単位で)
  • 目標原価率を設定したか?(業態に合わせて)
  • 原価÷目標原価率で売価を逆算したか?
  • 競合店の価格帯と比較したか?
  • お客さんの価格感覚に合っているか?
  • 端数効果を使っているか?(1,000円→980円)
  • 松竹梅の3段階価格を設定しているか?
  • 稼ぎ頭メニューと目玉メニューのバランスを取っているか?
  • メニュー全体の平均原価率が目標内に収まっているか?
  • 利益額も確認したか?

今すぐやること

  • 全メニューの食材原価を計算する
  • 各メニューの原価率を算出する
  • メニュー全体の平均原価率を出す
  • 原価率が40%を超えているメニューがないか確認する
  • ある場合、値上げ食材の見直し量の調整で改善する

「なんとなくの価格設定」から「計算に基づいた価格設定」へ。 それだけで月の利益が数万円変わる。


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よくある質問

メニューの価格はどうやって決めればいいですか?

基本は「原価÷目標原価率=売価」の逆算です。たとえば、食材原価が250円で目標原価率30%なら、250÷0.30=833円。売価は830円か850円に設定します。ただし原価率だけで決めるのは危険で、①競合店の価格帯、②お客さんの価格感覚(この業態なら○○円が妥当だと感じるライン)、③利益額(原価率が低くても利益額が小さいメニューは意味がない)の3つも考慮する必要があります。最終的には『原価率で計算した価格』が『お客さんが払える価格帯』に収まっているかを確認します。

飲食店の原価率は何%が理想ですか?

業態によって異なりますが、目安は以下です。カフェ:20〜25%、ラーメン店:28〜33%、居酒屋:28〜35%、定食屋:30〜35%、焼肉店:35〜45%、寿司店:35〜45%。ただし、全メニュー一律の原価率にする必要はありません。原価率の高い「目玉メニュー」(原価率40%超)と、原価率の低い「稼ぎ頭」(原価率15〜25%)を組み合わせて、メニュー全体の平均原価率を目標値に収めるのが正しいやり方です。

利益が出やすいメニューはどんなものですか?

原価率が低いメニューです。①ドリンク全般:ソフトドリンクの原価率5〜10%、アルコール(生ビール以外)20〜25%。②スープ・汁物:材料費が安く原価率10〜20%。③サラダ:野菜は原価が安く原価率15〜25%。④デザート:小麦粉・砂糖・卵がベースで原価率15〜25%。⑤ご飯・麺類の追加注文:米や麺の原価は非常に安い。これらを「稼ぎ頭」として、メインの肉・魚料理(原価率35〜45%)と組み合わせることで、全体の利益率を確保します。

値段を上げたいけどお客さんに嫌がられないか心配です

値上げ=客離れとは限りません。ポイントは3つ。①全メニュー一律値上げではなく、原価が上がったメニューだけ値上げする。②値上げと同時にメニューをリニューアルする(新メニュー追加や盛り付け変更)ことで、値上げ感を薄める。③50円〜100円の小幅な値上げなら、ほとんどの常連客は気にしない。調査では、300円以上の値上げで初めて「高くなった」と感じる消費者が多いとされています。

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