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「人件費が高すぎる気がする」──気がする、じゃなくて計算しよう。飲食店の人件費率の適正ラインと管理法

飲食店の人件費率は売上の25〜35%が適正。原価率と合わせたFL比率が60%を超えたら赤信号。でも人件費率を計算したことがない個人飲食店は意外と多い。計算方法、業態別の適正値、人件費を下げずに人件費率を改善する方法、オーナーの給料はいくらが妥当かまで解説。

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目次

「うちは人手がギリギリだから、人件費は適正なはず」

本当にそうだろうか?

「何となく」で人件費を管理している飲食店は多い。 でも数字を見ないと、適正かどうかは判断できない。

  • アルバイトを1人増やしたら、人件費率は何%上がるのか?
  • オーナー自身の給料を入れたら、FL比率はいくらになるのか?
  • 最低賃金が上がったら、利益はどのくらい減るのか?

計算しなければ、答えは出ない。


人件費率の計算方法

基本の計算式

人件費率(%)= 人件費の合計 ÷ 売上 × 100

人件費に含めるもの

含める含めない
アルバイト・パートの給与食材費
オーナーの給料(取り分)家賃
社会保険料(事業主負担分)光熱費
通勤手当広告費
賞与・手当設備のリース料

よくある間違い: オーナーの取り分を人件費に入れない。 オーナーだって労働している。その対価を含めないと、人件費率は実態より低く見える。

計算例

月商200万円の居酒屋(オーナー+アルバイト2人)

項目金額
オーナーの取り分30万円
アルバイトA(週4日、1日6時間)12万円
アルバイトB(週3日、1日5時間)8万円
社会保険・通勤手当3万円
人件費合計53万円

人件費率 = 53万 ÷ 200万 × 100 = 26.5%

この居酒屋の人件費率は26.5%。適正範囲内だ。


FL比率──飲食店の最重要指標

計算式

FL比率(%)=(食材費 + 人件費)÷ 売上 × 100

先ほどの居酒屋の場合

項目金額売上に対する割合
食材費(F)64万円32%
人件費(L)53万円26.5%
FL合計117万円58.5%

FL比率58.5%。 ギリギリ適正範囲だが、余裕はない。

FL比率の判定基準

FL比率判定状態
55%以下◎ 優秀利益がしっかり残る
55〜60%○ 適正標準的な利益水準
60〜65%△ 要注意利益がほとんど残らない
65%以上✕ 赤字圏経営を見直す必要あり

業態別の適正人件費率

業態原価率の目安人件費率の目安FL比率の目安
ラーメン店30〜35%20〜25%50〜60%
カフェ25〜30%25〜30%50〜60%
居酒屋28〜35%25〜30%55〜65%
定食屋30〜35%25〜30%55〜65%
焼肉店35〜45%20〜25%55〜65%
フレンチ・イタリアン28〜35%30〜35%58〜65%
寿司店35〜45%25〜30%60〜70%

原価率が高い業態は人件費率を低く、人件費率が高い業態は原価率を低くする。 FLのバランスが大事。


人件費を「下げずに」人件費率を改善する方法

人件費率を下げるのは、必ずしも「人を減らす」「給料を下げる」ことではない。

方法1: 売上を上げる(分母を大きくする)

人件費50万円は変わらなくても──

  • 月商200万円 → 人件費率25%
  • 月商250万円 → 人件費率20%

客単価アップやアイドルタイムの活用で売上が上がれば、人件費率は自然に下がる。

方法2: シフトの最適化

「ピーク時に人が足りず、アイドルタイムに人が余っている」──これが人件費のムダ。

時間帯来客数必要なスタッフ実際のスタッフムダ
11:00-13:0040人3人2人人手不足
14:00-17:005人1人2人1人分がムダ
18:00-21:0030人3人3人適正

14:00-17:00の1人分を減らすだけで、月3〜5万円の削減。

方法3: オペレーションの効率化

  • 仕込みの段取りを改善 → 30分短縮 = 月の人件費数千円減
  • セルフオーダーの導入 → ホールスタッフ1人分を削減
  • 券売機の導入 → 会計業務ゼロ

方法4: メニュー数の絞り込み

メニューが多い → 仕込みに時間がかかる → 人件費が増える

メニューを20品から15品に減らすだけで、仕込み時間が20〜30%減る。


最低賃金が上がったらどうなるか?

2024年10月の全国加重平均最低賃金は1,054円。毎年3〜5%ずつ上がっている。

アルバイト2人の人件費シミュレーション:

最低賃金月の人件費(2人合計)売上200万円での人件費率
1,054円20万円10%
1,100円21万円10.5%
1,200円23万円11.5%
1,300円25万円12.5%

オーナーの取り分30万円を加えると、最低賃金1,300円時代の人件費率は(30+25)÷200×100 = 27.5%。まだ適正範囲だが、余裕は減る。

最低賃金の上昇分を吸収するには、それ以上に売上を増やすか、オペレーション効率を上げるしかない。


今すぐやること

  • 今月の人件費の合計を計算する(オーナーの取り分を含める)
  • 人件費率を計算する(人件費÷売上×100)
  • FL比率を計算する((食材費+人件費)÷売上×100)
  • FL比率が60%を超えていないか確認する
  • 超えていたら、シフトの最適化売上アップのどちらで改善するか決める

「何となく適正な気がする」から「数字で適正」へ。 その差が、利益が出る店と出ない店の違いだ。


KitchenCostは、食材費と原価率を見える化するアプリです。FL比率を計算するには、まず正確な原価率(F)を知る必要があります。原価率が見えれば、人件費率(L)との合計で利益が残るかどうかが一目でわかります。

よくある質問

飲食店の人件費率の適正値はどのくらいですか?

売上に対して25〜35%が適正です。ただし業態によって異なります。ラーメン店やファストフードなど調理工程が少ない業態は20〜25%、居酒屋や定食屋は25〜30%、高級レストランやフレンチなど調理に手間がかかる業態は30〜35%が目安。これとは別に、原価率+人件費率を合わせた「FL比率」が重要で、55〜60%が適正、60%を超えると利益がほとんど残りません。65%を超えると赤字です。

人件費率はどうやって計算しますか?

人件費率(%)= 人件費の合計 ÷ 売上 × 100 です。人件費に含めるのは、①アルバイト・パートの給与、②社会保険料(事業主負担分)、③通勤手当、④賞与、⑤オーナー自身の給料(役員報酬または生活費として引き出す金額)。よくある間違いは「オーナーの取り分を含めない」こと。オーナーの労働も人件費です。月商200万円でオーナーが月30万円、アルバイトに月20万円支払っているなら、人件費率は(30+20)÷200×100=25%です。

FL比率とは何ですか?

FL比率とは、Food(食材費)+Labor(人件費)の合計が売上に占める割合です。FL比率(%)=(食材費+人件費)÷ 売上 × 100。飲食店の2大コストを1つの指標で管理できるのが最大のメリット。適正値は55〜60%。60%を超えると家賃・光熱費・その他経費を引いた後に利益がほぼ残りません。FL比率が65%を超えている場合は、原価率を下げるか人件費率を下げるか、あるいは売上を上げる必要があります。

オーナーの給料はいくらが適正ですか?

個人飲食店のオーナーの取り分は、売上の10〜15%が目安です。月商200万円なら月20〜30万円、月商300万円なら月30〜45万円。これはあくまで目安で、実際には「全ての経費を引いた後に残る利益」がオーナーの取り分になります。注意すべきは、オーナーが自分の給料を計算に入れずに「利益が出ている」と思い込んでしまうケース。オーナーの労働も人件費に含めて計算しないと、正確なFL比率が出ません。

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