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隣の店と一緒に注文するだけで、仕入れ値が15%下がった──個人飲食店の「共同仕入れ」入門

個人飲食店は1店舗の発注量が少ないため、仕入れ値の交渉力がない。でも近隣の2〜3店舗とまとめて発注するだけで、1ケース単価が10〜15%下がることも。共同仕入れの始め方、声のかけ方、トラブルを避けるルール設定、送料の割り勘方法まで、0円で今日から始められるコスト削減術を解説。

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目次

「同じ油を買ってるのに、なんでうちのほうが高いんだ?」

近所のイタリアンの店主と話していて、何気なくサラダ油の仕入れ値を聞いてみた。

「えっ、1缶1,200円? うちは1,500円ですけど…」

同じメーカー、同じ容量の油なのに、300円も違う

理由はシンプルだ。イタリアンは月に6缶使うからケース買いできている。こっちは月に2缶しか使わないからバラ買いになっている。

年間にすると、油だけで3,600円の差。調味料、米、消耗品まで含めたら、年間5万〜10万円のコスト差になっていてもおかしくない。

個人店は発注量が少ないから仕入れ値が高い。これは構造的な問題で、1人ではどうにもならない。

──でも、2〜3店舗で一緒に注文したら?


共同仕入れの仕組み──やっていることは「まとめ買い」だけ

共同仕入れと聞くと大げさに聞こえるが、やっていることは**「近所の店と一緒にまとめて注文する」**だけだ。

なぜ安くなるのか?

仕組み具体例
ケース単価の適用バラで1缶1,500円 → ケース(6缶)で1缶1,200円
ロット割引10kg単位で注文すると5%オフ
送料の割り勘送料1,000円 ÷ 3店舗 = 333円/店
送料無料ライン到達1店舗5,000円の注文 → 3店舗で15,000円 → 送料無料
交渉力の向上「月に3店舗分、合計○○万円分注文します」と言えば値引き交渉しやすい

どのくらい安くなる?

あくまで目安だが、共同仕入れによるコスト削減効果は以下の通り。

項目削減率の目安年間削減額(月仕入れ30万円の店)
ケース購入による単価減5〜15%18万〜54万円
送料の削減月1,000〜3,000円1.2万〜3.6万円
合計約20万〜58万円

もちろん、すべての食材がケース価格になるわけではない。だが、**油、米、調味料、消耗品(ラップ、アルミホイル、手袋)**など、どの店でも使うものだけでも共同購入すれば、年間で数万円以上のコスト削減は十分可能だ。


始め方──「声のかけ方」が最大のハードル

共同仕入れの仕組み自体は簡単だ。**最大のハードルは「隣の店に声をかけること」**にある。

声をかけやすい相手

相手おすすめ度理由
同じ商店街・ビルの飲食店物理的に近い。受け取り・分配が楽
業態が違う近隣の店(カフェ × 居酒屋)競合しないから気楽。共通食材は意外と多い
同業態の近隣店競合意識が出やすい。仕入れ値を見せたくない店も
開業仲間・知り合いの店主信頼関係がすでにある。ただし距離が遠いと物流が面倒

声のかけ方(テンプレ)

「最近、仕入れの送料ってバカにならないですよね。もしよかったら、調味料とか消耗品だけでも一緒に注文しませんか?ケースで買えると単価も下がるし、送料も割り勘にできるんで。月1回まとめて発注する感じで。」

ポイントは、最初から大きく始めないこと。

  • ✅ 「調味料と消耗品だけ」→ 失敗しても損が少ない
  • ✅ 「月1回」→ 負担が少ない
  • ❌ 「全食材を共同で」→ ハードルが高すぎて断られる

共同仕入れ向きの食材・消耗品リスト

すべての食材を共同仕入れにする必要はない。**「どの店でも使う」「日持ちする」「ケースで安くなる」**ものだけでいい。

共同仕入れにおすすめ

カテゴリ具体的な商品ケース購入の効果
サラダ油、ごま油、オリーブオイル10〜15%安くなることが多い
調味料醤油、味噌、みりん、酢、めんつゆ大容量ほど単価が下がる
業務用米(30kg袋)複数袋で送料無料になりやすい
消耗品ラップ、アルミホイル、使い捨て手袋ケース買いで20〜30%安くなることも
洗剤類食器用洗剤、漂白剤、除菌スプレー業務用サイズ×ケースで大幅安
紙製品ペーパータオル、ナプキン、おしぼり箱買いでの割引が大きい

共同仕入れに向かないもの

カテゴリ理由
生鮮食品(野菜・肉・魚)鮮度管理が難しい。好みや品質基準が店ごとに違う
専門食材自分の店しか使わないものは共同購入の意味がない
冷凍食品保管スペースの問題。受け渡し時の温度管理

トラブル防止──3つのルールだけ決めておく

共同仕入れで最も多いトラブルは**「お金」と「手間の偏り」**だ。

ルール1:お金の立て替えはしない

「先に払っておくから、あとで振り込んで」は絶対にNG。

方法は2つ:

  • 各店舗が自分の分を事前に振り込んでから注文する
  • 注文時にクレジットカードで各自決済(店舗ごとに分けて注文できるサービスを使う)

ルール2:注文の締め切りを決める

「今週何か頼む?」「あー、まだ考えてない」──こんなやり取りを毎週続けると、取りまとめ役がストレスで爆発する。

  • 毎週月曜の夜までにLINEグループに注文内容を投稿
  • 火曜にまとめて発注
  • 締め切りを過ぎたら次回に回す

ルール3:受け取りと分配は「1店舗受け取り+取りに来る」方式

宅配便は1つの住所にしか届かないので、どこか1店舗に届けてもらい、他の店が取りに来る。

  • 受け取り店舗は固定 or 持ち回り
  • 取りに来る時間帯を決めておく(「配達日の翌日午前中まで」など)
  • 重いもの(油のケースなど)は台車があると便利

税務処理──各店の経費にちゃんと計上する

共同仕入れで気をつけたいのが、確定申告時の仕入れの計上方法だ。

方法1:領収書を店舗ごとに分けてもらう

仕入れ先に「各店舗宛に領収書を分けて発行してほしい」と頼む。対応してくれる業者は多い。

方法2:按分計算で計上する

1枚の領収書しか出ない場合は、注文リストを根拠に按分する。

例:合計15,000円の注文で、A店が6,000円分、B店が5,000円分、C店が4,000円分なら、それぞれがその金額を仕入れとして計上する。

大事なのは、「誰がいくら分を購入したか」の記録を残すこと。 LINEのやり取りや注文リストのスクリーンショットを保存しておけば十分だ。


成功事例:3店舗で月2万円のコスト削減

ある商店街の事例を紹介する。

参加店舗

  • ラーメン店(月仕入れ40万円)
  • 居酒屋(月仕入れ35万円)
  • カフェ(月仕入れ15万円)

共同仕入れしたもの

  • サラダ油(月合計12缶 → ケース2箱で15%OFF)
  • 業務用ラップ・アルミホイル(月合計6本 → ケース買い)
  • 使い捨て手袋(月合計2,000枚 → 箱買い)
  • 食器用洗剤(月合計6本 → ケース買い)

結果

  • 3店舗合計で月約2万円のコスト削減
  • 1店舗あたり月6,000〜7,000円年間約8万円の節約
  • 送料は3店舗で割り勘にして、1店舗あたり月300円以下に

「8万円」と聞くと大した金額じゃないように感じるかもしれない。でも、仕入れ値を8万円下げるのと、8万円分の売上を上げるのでは、利益への効果がまったく違う。仕入れ値の削減はそのまま利益になる。


今週やること──3ステップ

  1. 近所の飲食店の店主に、仕入れの話題を振ってみる

    • 「最近、油の値段上がりましたよね」程度の雑談から
    • いきなり「共同仕入れしませんか?」は重すぎる
  2. 自分の月間消耗品リストを作る

    • 今月買った消耗品(油、調味料、ラップ、洗剤…)の品名・数量・金額を書き出す
    • ケースで買ったらいくらになるかを調べる
  3. LINEグループを作る準備をする

    • 2〜3人の候補が見つかったら、「試しに来月の消耗品だけ一緒に頼んでみませんか?」

最初は「消耗品だけ」「月1回」「3店舗以内」。 小さく始めて、うまくいったら少しずつ品目を増やしていけばいい。


共同仕入れで「いくら安くなったか」を知るには、もとの原価を正確に把握しておくことが大切です。KitchenCostなら、食材ごとの単価を登録しておくだけで、レシピ原価の変動がすぐに見える化されます。

よくある質問

共同仕入れで本当に仕入れ値は下がりますか?

はい、下がります。業務用食材の多くは「ケース単位」「ロット単位」で価格が変わります。たとえば、サラダ油を1缶ずつ買うのと、1ケース(6缶)で買うのでは、1缶あたりの価格が10〜15%違うことがあります。2〜3店舗分をまとめて発注するだけで、1ケースの注文最低数量に届くようになり、ケース価格が適用されます。さらに、送料無料ラインを超えやすくなるため、1店舗あたりの送料負担も減ります。年間で数万〜十数万円のコスト削減になるケースも珍しくありません。

共同仕入れのパートナーはどう見つけますか?

最も始めやすいのは、近隣の飲食店に声をかけることです。隣のビルのカフェ、同じ商店街の定食屋、向かいの居酒屋など、普段からあいさつ程度の関係がある店がベストです。業態が違っても、使う食材には共通部分があります(油、調味料、米、野菜など)。声のかけ方は『仕入れの送料って高くないですか?もしよかったら一緒に注文しませんか?』程度でOK。最初は調味料や消耗品など、失敗しても損が小さいものから始めるのが安全です。

共同仕入れでトラブルにならないためのルールは?

3つのルールを最初に決めておくとトラブルを防げます。①支払いは「各店舗が事前に自分の分を振り込む」方式にする(立て替え禁止)、②注文の取りまとめは曜日を決める(例:毎週月曜にLINEで注文数を報告、火曜にまとめて発注)、③受け取り場所と分配方法を決めておく(1店舗に届けてもらい、他の店が取りに来る等)。お金の貸し借りが発生しないようにするのが最大のポイントです。

法的に問題はありませんか?

個人飲食店同士の共同仕入れに法的な問題はありません。事業協同組合のような正式な組織を作る方法もありますが、2〜3店舗での非公式な共同購入は、単に『まとめて注文している』だけなので、特別な届出や手続きは不要です。ただし、税務上は各店舗が自分の仕入れ分を自分の経費として計上する必要があります。領収書は各店舗分を分けて発行してもらうか、按分比率を明確にしておきましょう。

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