「食材原価は見ているのに、月末に思ったほど残らない」
このとき、抜けやすいのが人件費です。 とくに1〜2店舗の小さなお店ほど、ここで迷いやすいです。
先に結論
- 人件費は、まず「作る時間分」だけ入れればOKです。
- 慣れたら「共通作業(清掃・開店準備)」を1品あたりで足します。
- 最初から全メニューは不要。上位3〜5品で十分始められます。
2026年にこのテーマが重い理由
- 最低賃金の全国加重平均は 1,121円。
- 帝国データバンク調査では、2026年の食品値上げ要因で「人件費」由来が 66.2%。
- 同社調査では、2025年の飲食店倒産は 900件、飲食店の価格転嫁率は 32.3%(全業種平均 39.4%)。
人件費が上がっても、値上げだけで吸収しにくい店が多い。 だから、原価計算の中で人件費を見える化する必要があります。
現場の声(コミュニティ)
飲食店ドットコム会員調査(回答297)では、 2024年の印象的ニュース1位が「円安・物価高騰(40.1%)」でした。
同調査で「過去最大の最低賃金アップ」は 13.8%。 仕入れと人件費の両方が、同時に重くなっている実感が出ています。
難しい言葉を先にやさしく
直接作業の人件費: そのメニューを作る時間の人件費共通作業の人件費: 清掃・開店準備など、全メニュー共通の人件費配賦(はいふ): 共通作業の人件費を、1品ごとに割って配ること
5分計算(これだけ)
1分あたり人件費 = 時給 ÷ 60
1品の直接人件費 = 1分あたり人件費 × その商品の作業分数
1品の共通人件費 = 月間の共通人件費 ÷ 月間販売数
人件費込み原価 = 食材費 + 包材費 + 直接人件費 + 共通人件費
例(定食メニュー)
- 時給: 1,121円
- そのメニューの作業時間: 6分
- 月間の共通人件費: 180,000円
- 月間販売数: 6,000食
- 食材費: 280円
- 包材費: 10円
1分あたり人件費 = 1,121 ÷ 60 = 18.7円
直接人件費 = 18.7 × 6 = 112円
共通人件費 = 180,000 ÷ 6,000 = 30円
人件費込み原価 = 280 + 10 + 112 + 30 = 432円
売価980円なら、
原価率は 432 ÷ 980 × 100 = 44.1% です。
食材費だけで見た数字より、現場の実感に近づきます。
失敗しない進め方
- まず上位3品だけ計算する
- 計算ルールを1か月固定する
- 翌月にだけ見直す
毎週ルールを変えると、良し悪しの比較ができなくなります。
今週やること
- 上位3〜5品の作業分数を測る
- 時給から1分あたり人件費を出す
- 共通人件費を1品あたりへ割る
- 人件費込み原価で粗利を見直す
- 14日後の確認日をカレンダーに入れる
まとめ
人件費を原価に入れる目的は、 管理を難しくすることではありません。
「売れているのに残らない」を止めるためです。 まずは上位3品だけ、5分計算で十分です。