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「うちの店の"売り"って何?」と聞かれて答えられない店主へ──個人飲食店のコンセプトの作り方

近所に似たような店が3軒もある。味は負けてないのに、なぜかあっちの店ばかり混んでいる。違いは「コンセプト」があるかどうかだ。たった1行の「誰に、何を、なぜ」を決めるだけで、メニュー・内装・SNS・接客のすべてに一貫性が生まれる。コンセプトの作り方を個人飲食店向けに解説。

飲食店コンセプト差別化ブランディング強み個人店競合2026年
目次

「おいしい」だけでは、もう選ばれない

お客さんに「最近どこかいい店ある?」と聞かれて、友達に紹介してもらうとき。

「あそこ、おいしいよ」だけでは、人は動かない。

「あそこ、毎朝市場で魚を仕入れてる海鮮居酒屋で、カウンターで1人でも入りやすいし、刺身盛りが1,000円で驚くほどのボリュームだよ」

──こう言ってもらえたら、行ってみたくなる。

この違いを生んでいるのが、コンセプトだ。


コンセプトとは「1行で伝わる店の説明」

難しく考えなくていい。

「この店は、誰のための、何の店か」 を1行で言えるかどうか。それだけだ。

コンセプトがある店の例

コンセプト(1行)
A定食屋仕事帰りの1人客が、1,000円以内でしっかり食べられる店
Bラーメン店自家製の極太麺と豚骨スープにこだわり抜いた、行列のできるラーメン屋
Cカフェ子連れのママが、ゆっくりランチできる畳席のあるカフェ
D居酒屋地元の常連が毎週通う、店主の手料理と日本酒の店

コンセプトがない店の特徴

  • メニューが「なんでもあり」(和食、洋食、中華が混在)
  • 「うちの売りは?」と聞かれると「全部おいしいです」
  • 看板に「居酒屋」としか書いてない
  • インスタの投稿に統一感がない
  • 「あの店、何の店だっけ?」と言われる

コンセプトの作り方──3つの質問に答えるだけ

質問1:誰に?(ターゲット)

「みんな」はターゲットではない。具体的な1人をイメージする。

広すぎ(NG)ちょうどいい
「みんなに愛される店」「近所の30代共働き夫婦」
「老若男女」「1人ランチの会社員」
「ファミリー」「未就学児のいる若いママ」

質問2:何を?(提供する価値)

「おいしい料理」は当たり前。それ以外の価値を考える。

価値の種類具体例
コストパフォーマンス「この値段でこのボリューム?」
専門性「ここでしか食べられない○○」
雰囲気「1人でも居心地がいい」
利便性「注文から5分で出てくる」
ストーリー「元フレンチのシェフが作る洋食」
健康「野菜たっぷり、化学調味料不使用」

質問3:なぜあなたの店で?(競合との違い)

周りに似た店がある中で、**「あの店じゃなくて、ここに来る理由」**は何か。

差別化の軸
食材「契約農家から直接仕入れている」
技術「手打ちの麺」「炭火焼き」
経験「ホテルで15年修行した」
空間「全席カウンター」「畳の個室」
サービス「名前を覚えて呼ぶ」「アレルギー完全対応」
価格「この品質でこの価格は他にない」

コンセプトを「見つける」方法──常連客に聞く

ゼロから作るのは難しい。でも、すでに営業している店なら、答えはお客さんが持っている。

常連客に聞く3つの質問

  1. 「うちの店の好きなところはどこですか?」
  2. 「うちの店を友達に紹介するとき、なんて言いますか?」
  3. 「他の店じゃなくて、なぜうちに来てくれるんですか?」

この3つの答えを5人に聞くだけで、驚くほど共通するキーワードが出てくる。

  • 「いつも魚が新鮮だから」→ 鮮度が強み
  • 「マスターと話すのが楽しい」→ 店主のキャラクターが強み
  • 「1人でも居心地がいい」→ 雰囲気が強み
  • 「この価格でこの味はない」→ コスパが強み

自分で思っている強みと、お客さんが感じている強みは違うことが多い。だからこそ、聞くことが大事だ。


コンセプトが決まると「全部」が決まる

コンセプトは、飾りではない。経営判断の基準になる。

メニュー構成

  • コンセプトに合わないメニューは削る
  • 「なんでもある店」→「○○が自慢の店」

価格設定

  • ターゲットの予算に合わせる
  • 「1人ランチの会社員」→ 1,000円前後の設定

内装・雰囲気

  • コンセプトに合った空間を作る
  • 「1人客向け」→ カウンター席を増やす

SNS投稿

  • コンセプトに沿った写真と文章
  • 「鮮度が売り」→ 毎朝の仕入れ写真を投稿

新メニューの判断

  • 「このメニューはコンセプトに合っている?」で判断
  • 合っていなければ、たとえ流行りでも入れない

今週やること──2つだけ

  1. 常連客3人に「うちの店のどこが好きですか?」と聞いてみる

    • お会計のとき、軽い感じで聞くだけでOK
    • 共通するキーワードを書き留めておく
  2. 「誰に、何を、なぜこの店で」を1行で書いてみる

    • 完璧じゃなくていい。まず書くことが大事
    • 例:「仕事帰りの○○な人が、○○を楽しめる、○○な店」

コンセプトは、華やかな言葉じゃなくていい。 お客さんが「あの店は○○だよ」と言える一言があれば、それで十分だ。


コンセプトが決まったら、次はメニューの原価を整理しましょう。KitchenCostなら、コンセプトに合ったメニュー構成の原価率を一覧で確認でき、「どのメニューで稼ぎ、どのメニューで集客するか」の戦略を数字で立てられます。

よくある質問

飲食店のコンセプトとは何ですか?

コンセプトとは「この店は誰のための、何の店か」を一言で言い表したものです。たとえば「仕事帰りの30代会社員が、1人でもふらっと入れて、1,000円以内でしっかり食べられる定食屋」。この1文があるだけで、メニュー構成(ボリュームのある定食、1,000円以下)、内装(カウンター中心、1人席)、営業時間(夕方〜夜がメイン)、SNSの投稿内容(ボリューム感のある写真)がすべて自動的に決まります。コンセプトがない店は、方向性がバラバラになりがちです。

コンセプトがないと何が問題ですか?

コンセプトがないと3つの問題が起きます。①メニューが「あれもこれも」になる(和食もパスタもカレーも→何の店かわからない)、②お客さんが「この店を選ぶ理由」を説明できない(口コミが広がらない)、③値上げや新メニュー追加の判断基準がない(場当たり的な経営になる)。逆に、コンセプトが明確な店は「あそこは○○の店だよ」と一言で紹介してもらえます。口コミが広がりやすく、リピーターもつきやすくなります。

コンセプトはどうやって作ればいいですか?

3つの質問に答えるだけです。①誰に?(ターゲット客層:30代の1人客、ファミリー、学生、ビジネスパーソンなど)、②何を?(提供する価値:安さ、ボリューム、本格的な味、くつろぎの空間、素材の鮮度など)、③なぜあなたの店で?(競合との違い:自家製麺、産地直送、元料亭の板前、独自の調理法など)。この3つを組み合わせて1文にします。例:『築地で30年修行した店主が、毎朝市場で仕入れた魚を、カウンターで1人でも気軽に楽しめる海鮮居酒屋』。

今の店からでもコンセプトは作り直せますか?

はい、営業中の店でもコンセプトの再設計は可能です。ただし、いきなり全部を変える必要はありません。まず常連客に『うちの店のどこが好きですか?』と聞いてみてください。お客さんが感じている『この店の強み』は、自分では気づいていないことが多いです。『いつも魚が新鮮だから』『1人でも入りやすい雰囲気』『マスターが覚えてくれる』──その答えがコンセプトのヒントです。既存の強みを言語化して、それを前面に出すだけで十分な差別化になります。

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