「おいしい」だけでは、もう選ばれない
お客さんに「最近どこかいい店ある?」と聞かれて、友達に紹介してもらうとき。
「あそこ、おいしいよ」だけでは、人は動かない。
「あそこ、毎朝市場で魚を仕入れてる海鮮居酒屋で、カウンターで1人でも入りやすいし、刺身盛りが1,000円で驚くほどのボリュームだよ」
──こう言ってもらえたら、行ってみたくなる。
この違いを生んでいるのが、コンセプトだ。
コンセプトとは「1行で伝わる店の説明」
難しく考えなくていい。
「この店は、誰のための、何の店か」 を1行で言えるかどうか。それだけだ。
コンセプトがある店の例
| 店 | コンセプト(1行) |
|---|---|
| A定食屋 | 仕事帰りの1人客が、1,000円以内でしっかり食べられる店 |
| Bラーメン店 | 自家製の極太麺と豚骨スープにこだわり抜いた、行列のできるラーメン屋 |
| Cカフェ | 子連れのママが、ゆっくりランチできる畳席のあるカフェ |
| D居酒屋 | 地元の常連が毎週通う、店主の手料理と日本酒の店 |
コンセプトがない店の特徴
- メニューが「なんでもあり」(和食、洋食、中華が混在)
- 「うちの売りは?」と聞かれると「全部おいしいです」
- 看板に「居酒屋」としか書いてない
- インスタの投稿に統一感がない
- 「あの店、何の店だっけ?」と言われる
コンセプトの作り方──3つの質問に答えるだけ
質問1:誰に?(ターゲット)
「みんな」はターゲットではない。具体的な1人をイメージする。
| 広すぎ(NG) | ちょうどいい |
|---|---|
| 「みんなに愛される店」 | 「近所の30代共働き夫婦」 |
| 「老若男女」 | 「1人ランチの会社員」 |
| 「ファミリー」 | 「未就学児のいる若いママ」 |
質問2:何を?(提供する価値)
「おいしい料理」は当たり前。それ以外の価値を考える。
| 価値の種類 | 具体例 |
|---|---|
| コストパフォーマンス | 「この値段でこのボリューム?」 |
| 専門性 | 「ここでしか食べられない○○」 |
| 雰囲気 | 「1人でも居心地がいい」 |
| 利便性 | 「注文から5分で出てくる」 |
| ストーリー | 「元フレンチのシェフが作る洋食」 |
| 健康 | 「野菜たっぷり、化学調味料不使用」 |
質問3:なぜあなたの店で?(競合との違い)
周りに似た店がある中で、**「あの店じゃなくて、ここに来る理由」**は何か。
| 差別化の軸 | 例 |
|---|---|
| 食材 | 「契約農家から直接仕入れている」 |
| 技術 | 「手打ちの麺」「炭火焼き」 |
| 経験 | 「ホテルで15年修行した」 |
| 空間 | 「全席カウンター」「畳の個室」 |
| サービス | 「名前を覚えて呼ぶ」「アレルギー完全対応」 |
| 価格 | 「この品質でこの価格は他にない」 |
コンセプトを「見つける」方法──常連客に聞く
ゼロから作るのは難しい。でも、すでに営業している店なら、答えはお客さんが持っている。
常連客に聞く3つの質問
- 「うちの店の好きなところはどこですか?」
- 「うちの店を友達に紹介するとき、なんて言いますか?」
- 「他の店じゃなくて、なぜうちに来てくれるんですか?」
この3つの答えを5人に聞くだけで、驚くほど共通するキーワードが出てくる。
- 「いつも魚が新鮮だから」→ 鮮度が強み
- 「マスターと話すのが楽しい」→ 店主のキャラクターが強み
- 「1人でも居心地がいい」→ 雰囲気が強み
- 「この価格でこの味はない」→ コスパが強み
自分で思っている強みと、お客さんが感じている強みは違うことが多い。だからこそ、聞くことが大事だ。
コンセプトが決まると「全部」が決まる
コンセプトは、飾りではない。経営判断の基準になる。
メニュー構成
- コンセプトに合わないメニューは削る
- 「なんでもある店」→「○○が自慢の店」
価格設定
- ターゲットの予算に合わせる
- 「1人ランチの会社員」→ 1,000円前後の設定
内装・雰囲気
- コンセプトに合った空間を作る
- 「1人客向け」→ カウンター席を増やす
SNS投稿
- コンセプトに沿った写真と文章
- 「鮮度が売り」→ 毎朝の仕入れ写真を投稿
新メニューの判断
- 「このメニューはコンセプトに合っている?」で判断
- 合っていなければ、たとえ流行りでも入れない
今週やること──2つだけ
-
常連客3人に「うちの店のどこが好きですか?」と聞いてみる
- お会計のとき、軽い感じで聞くだけでOK
- 共通するキーワードを書き留めておく
-
「誰に、何を、なぜこの店で」を1行で書いてみる
- 完璧じゃなくていい。まず書くことが大事
- 例:「仕事帰りの○○な人が、○○を楽しめる、○○な店」
コンセプトは、華やかな言葉じゃなくていい。 お客さんが「あの店は○○だよ」と言える一言があれば、それで十分だ。
コンセプトが決まったら、次はメニューの原価を整理しましょう。KitchenCostなら、コンセプトに合ったメニュー構成の原価率を一覧で確認でき、「どのメニューで稼ぎ、どのメニューで集客するか」の戦略を数字で立てられます。