ブログ

「うちの周りに似たような店が3軒できた」──個人飲食店の競合調査、やり方をゼロから教える

近くに似たような店ができた。値段も安い。焦って値下げしたくなるが、それは最悪の選択だ。まずやるべきは「競合調査」。ライバル店のメニュー・価格・客層・口コミを分析し、自分の店の強みを再確認する。Googleマップ、食べログ、実際の訪問──0円でできる競合調査のやり方を個人飲食店向けに解説。

飲食店競合調査ライバル店差別化分析個人店Googleマップ2026年
目次

「あの店、うちと同じ価格帯で新しくて綺麗……」

3ヶ月前、50m先にイタリアンがオープンした。

内装はおしゃれ。Instagramのフォロワーはすでに500人。ランチセットは自分の店より100円安い。

常連客が「この前、あっちの店に行ってみたよ」と言い始めた。

焦る。値下げしたくなる。でも──

それは最悪の選択だ。

まずやるべきは「敵を知ること」。つまり競合調査。そして「自分の強みを再確認すること」。


ステップ1: 競合店をリストアップする(15分)

Googleマップで調べる

  1. Googleマップで自分の店の住所を検索
  2. 「レストラン」「居酒屋」「カフェ」など自分の業態を検索
  3. 半径500m以内の同業態を書き出す

記録するリスト

店名業態距離価格帯Google評価口コミ数
○○食堂定食屋100m800〜1,000円3.845件
△△トラットリアイタリアン50m1,000〜1,500円4.223件
□□カフェカフェ300m600〜900円3.567件

全部を調べる必要はない。3〜5店舗に絞る。 特に「自分のお客さんが流れそうな店」を優先的に調べる。


ステップ2: ネットで情報を集める(30分)

Googleマップの口コミ分析

競合店のGoogleマップの口コミを最新20件読む。注目するのは:

チェック項目見るべきポイント
褒められている点料理の何が評価されているか
不満が書かれている点ここが自分の店のチャンス
客層「ランチに同僚と」「デートで」「一人で」など
リピート客の有無「また来ます」「3回目」などのコメント

競合の口コミの「不満」は、自分の店の差別化ポイントになる。 「料理は美味しいけど接客が雑」と書かれていたら、自分の店は接客で勝てる。

食べログ・ぐるなび

  • メニュー内容と価格を確認
  • ランチとディナーの価格帯
  • コースメニューの構成

Instagram・X(旧Twitter)

  • どんな投稿をしているか
  • フォロワー数とエンゲージメント
  • お客さんの投稿(タグ付け)の内容

ステップ3: 実際に食べに行く(1〜2時間)

ネットの情報だけではわからないことがある。最低1回は実際に行く。

チェックリスト

項目確認すること
外観看板は目立つか?入りやすい雰囲気か?
店内席数、レイアウト、清潔感、BGM
接客挨拶、注文の取り方、料理の出すスピード
料理味、量、盛り付け、食器
メニュー品数、写真の有無、価格帯
客層年齢、性別、1人客 or グループ、会話の内容
混み具合何時にどのくらい席が埋まるか
会計キャッシュレス対応、レシートの有無

飲食代は「調査研究費」または「交際費」として経費で落とせる。 ただし、頻繁に行きすぎると税務署に指摘される可能性があるので、1店舗あたり1〜2回が目安。


ステップ4: 比較表を作る(30分)

調べた情報を1枚の表にまとめる。

項目自分の店競合A競合B
業態和食居酒屋イタリアン焼き鳥
ランチ価格900円1,100円800円
ディナー客単価3,500円4,500円3,000円
席数20席30席15席
Google評価3.64.23.3
口コミ数30件23件52件
強み鮮魚の品質おしゃれな内装安さ
弱み内装が古い量が少ない接客が雑
客層40〜50代男性20〜30代カップル20〜40代サラリーマン

この表を見ると、**自分の店が「どのポジションにいるか」**が一目でわかる。


ステップ5: 差別化ポイントを1つ決める

比較表をもとに、自分の店が「これだけは負けない」と言えるポイントを1つ決める。

差別化の4つの方向性

方向性向いている店
品質「毎朝築地から直送の鮮魚」食材にこだわりがある店
専門性「鶏料理しかない。だから鶏は誰にも負けない」特定食材に強い店
体験「カウンターで料理人と会話しながら食べる」少人数・カウンター店
利便性「22時以降も営業。深夜の1人飲みに最適」深夜営業・一人客歓迎の店

「安さ」で差別化するのは最後の手段。 価格競争は資本力のある大手チェーンに勝てない。個人店は「価格以外の理由」で選ばれることを目指す。


競合調査で絶対やってはいけないこと

❌ 値下げで対抗する

近くに安い店ができたからといって、値下げするのは自殺行為。原価率が上がり、利益が消える。一度下げた価格は上げにくい。

❌ マネする

「あの店が○○を始めたから、うちもやろう」──これでは二番煎じ。お客さんは本家に行く。

❌ 無視する

「うちはうち」と言って競合を見ないのも危険。お客さんは選択肢を比較している。自分の店を選ぶ理由を言語化できないなら、いつか選ばれなくなる。


競合調査は年2回やる

タイミング理由
春(3〜4月)新年度。新しい店がオープンしやすい時期
秋(9〜10月)年末商戦の前。忘年会シーズンに向けた準備

新しい店ができていないか、既存の競合がメニューを変えていないか、口コミの評価はどう変わったか──定期的にチェックする。


今すぐやること

  • Googleマップで半径500m以内の同業態を3〜5店舗リストアップ
  • 各店の**口コミ(最新20件)**を読む
  • 特に**「不満」のコメント**をメモする
  • 最も気になる競合に実際に食べに行く
  • 比較表を作り、自分の店の差別化ポイントを1つ決める

競合調査は「戦うため」ではなく「自分を知るため」にやる。 自分の店の強みがわかれば、それを伸ばすだけでいい。


KitchenCostは、メニューの原価率を計算するアプリです。競合店の価格がわかったら、自分の店のメニュー原価率と比べてみましょう。同じ価格帯でも原価率が違えば、利益の出方はまったく変わります。

よくある質問

競合調査は何のためにやるのですか?

3つの目的があります。①自分の店の「強み」を再確認するため(競合と比較して初めてわかる)、②価格設定の根拠を持つため(周りが1,000円なのに800円にする必要があるか?逆に1,200円でも選ばれる理由はあるか?)、③お客さんの流出を防ぐため(どの店に、どんな理由で客が流れているかがわかれば対策が打てる)。競合調査=『敵を知る』ではなく、『自分を知る』ための作業です。

競合店はどこまでが対象ですか?

基本は「自分の店から徒歩10分圏内(半径500〜800m)にある、同じ業態の飲食店」です。居酒屋なら周辺の居酒屋、カフェなら周辺のカフェ。ただし、完全に同じ業態でなくても『お客さんが迷う選択肢』は競合です。たとえばランチの定食屋にとって、近くのコンビニやスーパーの弁当も競合です。まずは半径500m以内のGoogleマップで飲食店をリストアップし、3〜5店舗を重点的に調査しましょう。

実際にライバル店に食べに行くべきですか?

はい、最低1回は行くべきです。ネットの情報だけではわからないことが多いからです。①料理の味・量・盛り付け、②接客の質、③店内の雰囲気・清潔感、④お客さんの層(年齢・性別・人数構成)、⑤混み具合と回転率──これらは実際に行かないとわかりません。平日ランチに1回、週末ディナーに1回の計2回行けば十分です。経費として「調査費」で落とせます。ノートかスマホに気づいたことをメモしておきましょう。

調査したら次に何をすればいいですか?

『差別化ポイント』を1つ明確にしましょう。競合が安さで勝負しているなら、自分は品質で勝負する。競合が広いメニューで勝負しているなら、自分は専門性で勝負する。差別化は『他がやっていないことをやる』だけでなく、『同じことをやっていても、レベルが明らかに違う』でもOK。たとえば『地元の○○農園の野菜を使っている』『味噌は手作り』など、ストーリーがある強みは価格以外の選ばれる理由になります。

今すぐ原価を計算してみましょう

材料単価を入力するだけで、レシピ原価・利益率・販売価格を自動計算します。