「あの店、うちと同じ価格帯で新しくて綺麗……」
3ヶ月前、50m先にイタリアンがオープンした。
内装はおしゃれ。Instagramのフォロワーはすでに500人。ランチセットは自分の店より100円安い。
常連客が「この前、あっちの店に行ってみたよ」と言い始めた。
焦る。値下げしたくなる。でも──
それは最悪の選択だ。
まずやるべきは「敵を知ること」。つまり競合調査。そして「自分の強みを再確認すること」。
ステップ1: 競合店をリストアップする(15分)
Googleマップで調べる
- Googleマップで自分の店の住所を検索
- 「レストラン」「居酒屋」「カフェ」など自分の業態を検索
- 半径500m以内の同業態を書き出す
記録するリスト
| 店名 | 業態 | 距離 | 価格帯 | Google評価 | 口コミ数 |
|---|---|---|---|---|---|
| ○○食堂 | 定食屋 | 100m | 800〜1,000円 | 3.8 | 45件 |
| △△トラットリア | イタリアン | 50m | 1,000〜1,500円 | 4.2 | 23件 |
| □□カフェ | カフェ | 300m | 600〜900円 | 3.5 | 67件 |
全部を調べる必要はない。3〜5店舗に絞る。 特に「自分のお客さんが流れそうな店」を優先的に調べる。
ステップ2: ネットで情報を集める(30分)
Googleマップの口コミ分析
競合店のGoogleマップの口コミを最新20件読む。注目するのは:
| チェック項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 褒められている点 | 料理の何が評価されているか |
| 不満が書かれている点 | ここが自分の店のチャンス |
| 客層 | 「ランチに同僚と」「デートで」「一人で」など |
| リピート客の有無 | 「また来ます」「3回目」などのコメント |
競合の口コミの「不満」は、自分の店の差別化ポイントになる。 「料理は美味しいけど接客が雑」と書かれていたら、自分の店は接客で勝てる。
食べログ・ぐるなび
- メニュー内容と価格を確認
- ランチとディナーの価格帯
- コースメニューの構成
Instagram・X(旧Twitter)
- どんな投稿をしているか
- フォロワー数とエンゲージメント
- お客さんの投稿(タグ付け)の内容
ステップ3: 実際に食べに行く(1〜2時間)
ネットの情報だけではわからないことがある。最低1回は実際に行く。
チェックリスト
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 外観 | 看板は目立つか?入りやすい雰囲気か? |
| 店内 | 席数、レイアウト、清潔感、BGM |
| 接客 | 挨拶、注文の取り方、料理の出すスピード |
| 料理 | 味、量、盛り付け、食器 |
| メニュー | 品数、写真の有無、価格帯 |
| 客層 | 年齢、性別、1人客 or グループ、会話の内容 |
| 混み具合 | 何時にどのくらい席が埋まるか |
| 会計 | キャッシュレス対応、レシートの有無 |
飲食代は「調査研究費」または「交際費」として経費で落とせる。 ただし、頻繁に行きすぎると税務署に指摘される可能性があるので、1店舗あたり1〜2回が目安。
ステップ4: 比較表を作る(30分)
調べた情報を1枚の表にまとめる。
| 項目 | 自分の店 | 競合A | 競合B |
|---|---|---|---|
| 業態 | 和食居酒屋 | イタリアン | 焼き鳥 |
| ランチ価格 | 900円 | 1,100円 | 800円 |
| ディナー客単価 | 3,500円 | 4,500円 | 3,000円 |
| 席数 | 20席 | 30席 | 15席 |
| Google評価 | 3.6 | 4.2 | 3.3 |
| 口コミ数 | 30件 | 23件 | 52件 |
| 強み | 鮮魚の品質 | おしゃれな内装 | 安さ |
| 弱み | 内装が古い | 量が少ない | 接客が雑 |
| 客層 | 40〜50代男性 | 20〜30代カップル | 20〜40代サラリーマン |
この表を見ると、**自分の店が「どのポジションにいるか」**が一目でわかる。
ステップ5: 差別化ポイントを1つ決める
比較表をもとに、自分の店が「これだけは負けない」と言えるポイントを1つ決める。
差別化の4つの方向性
| 方向性 | 例 | 向いている店 |
|---|---|---|
| 品質 | 「毎朝築地から直送の鮮魚」 | 食材にこだわりがある店 |
| 専門性 | 「鶏料理しかない。だから鶏は誰にも負けない」 | 特定食材に強い店 |
| 体験 | 「カウンターで料理人と会話しながら食べる」 | 少人数・カウンター店 |
| 利便性 | 「22時以降も営業。深夜の1人飲みに最適」 | 深夜営業・一人客歓迎の店 |
「安さ」で差別化するのは最後の手段。 価格競争は資本力のある大手チェーンに勝てない。個人店は「価格以外の理由」で選ばれることを目指す。
競合調査で絶対やってはいけないこと
❌ 値下げで対抗する
近くに安い店ができたからといって、値下げするのは自殺行為。原価率が上がり、利益が消える。一度下げた価格は上げにくい。
❌ マネする
「あの店が○○を始めたから、うちもやろう」──これでは二番煎じ。お客さんは本家に行く。
❌ 無視する
「うちはうち」と言って競合を見ないのも危険。お客さんは選択肢を比較している。自分の店を選ぶ理由を言語化できないなら、いつか選ばれなくなる。
競合調査は年2回やる
| タイミング | 理由 |
|---|---|
| 春(3〜4月) | 新年度。新しい店がオープンしやすい時期 |
| 秋(9〜10月) | 年末商戦の前。忘年会シーズンに向けた準備 |
新しい店ができていないか、既存の競合がメニューを変えていないか、口コミの評価はどう変わったか──定期的にチェックする。
今すぐやること
- Googleマップで半径500m以内の同業態を3〜5店舗リストアップ
- 各店の**口コミ(最新20件)**を読む
- 特に**「不満」のコメント**をメモする
- 最も気になる競合に実際に食べに行く
- 比較表を作り、自分の店の差別化ポイントを1つ決める
競合調査は「戦うため」ではなく「自分を知るため」にやる。 自分の店の強みがわかれば、それを伸ばすだけでいい。
KitchenCostは、メニューの原価率を計算するアプリです。競合店の価格がわかったら、自分の店のメニュー原価率と比べてみましょう。同じ価格帯でも原価率が違えば、利益の出方はまったく変わります。