「現金払いなら、少し安くしてほしいと言われる」
この相談、個人店ではかなり増えています。 ただ、雰囲気で割り引くと、売上はあるのに利益が薄くなります。
先に結論
- 現金割引は、
キャッシュレス手数料の実額から逆算すると失敗しにくいです。 - まずは
1会計あたり割引上限を出してから金額を決めてください。 - 2週間テストで数字を見れば、続けるか止めるか判断できます。
なぜ今、現金割引の判断が増えているのか
帝国データバンク(2026-01-13公表)では、 2025年の飲食店倒産は 900件、価格転嫁率は 32.3%(全業種平均 39.4%)でした。
飲食店ドットコムの調査でも、 仕入れ総額が前年より上がった店は 90.8%、 11%以上上昇は 66.7%(回答282)です。
つまり、 「コストは上がるのに、価格は上げにくい」店が多い状態です。 この局面で現金割引をするなら、感覚ではなく計算が必要です。
まず計算する数字は3つだけ
実効手数料率 = 決済手数料総額 ÷ 売上
1会計あたり手数料 = 客単価 × 実効手数料率
割引上限額 = 1会計あたり手数料 - 現金対応コスト
ここでいう 現金対応コスト は、
釣銭準備・締め作業など、現金運用で増える手間をお金に直したものです。
5分でできる実例
- 月売上: 2,800,000円
- 月手数料: 67,200円
- 客単価: 1,100円
- 現金対応コスト: 1会計あたり6円
実効手数料率 = 67,200 ÷ 2,800,000 = 2.4%
1会計あたり手数料 = 1,100 × 0.024 = 26.4円
割引上限額 = 26.4 - 6 = 20.4円
この場合、 現金割引は 10円〜20円 の範囲でテストするのが安全です。 30円にすると、利益を削る可能性が高くなります。
失敗しにくい進め方(2週間)
- まずは平日だけ、現金割引を試す
- 割引額は1段階(例: 10円)から始める
- 毎日3つだけ記録する
見る数字はこれだけです。
現金比率 客単価 1会計あたり粗利
2週間後に、 粗利が維持できて現金比率が改善したら継続。 粗利が落ちるなら割引額を下げるか中止します。
店頭で使える短文(そのままOK)
現金でお支払いの場合、会計ごとに10円引きいたします。
対象条件は店内表示をご確認ください。
ルールは短く、条件は明確に。 この2つを守るとトラブルが減ります。
運用で忘れないこと
- 決済会社・ブランドの規約は事前に確認する
- 税込み/税抜きどちらで割引計算するか統一する
- 常連対応の例外を作りすぎない
今週やること
- 直近1か月の手数料総額を出す
- 実効手数料率と割引上限額を計算する
- 2週間のテスト条件(曜日・金額)を決める
- 現金比率・客単価・粗利を毎日記録する
- 14日後に継続/調整/中止を判断する
まとめ
現金割引は、 「気持ちで引く」より「手数料の範囲で引く」が正解です。
先に上限を出して、小さく試す。 この順番なら、値上げしづらい時期でも利益を守りやすくなります。