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飲食店のBGM、Spotifyで流してない?──年6,000円で合法化できるのに、知らずに訴えられる店が続出中

飲食店でSpotifyやYouTubeをBGMにするのは著作権違反。JASRACは全国352店舗に法的措置を取り、福岡では約41万円の賠償命令も。一方、正規の使用料は月たった500円。JASRAC契約・USEN・格安BGMアプリまで、飲食店オーナーが選べるすべての選択肢を費用比較つきで解説。

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目次

「うちの店、ずっとSpotifyで音楽流してるけど、大丈夫だよね?」

大丈夫じゃない。

個人向けのSpotify、Apple Music、Amazon Music、YouTube──これらを飲食店のBGMに使うのは利用規約違反であり、著作権侵害です。

「そんな小さい店まで来ないでしょ」と思うかもしれない。でもJASRAC(日本音楽著作権協会)は、全国352店舗に対して法的措置を取っている。飲食店も美容室もアパレルも、業種を問わず。

2019年には福岡市のバー10店舗が訴えられて、約41万円の損害賠償とBGM使用の差止めを命じられた。

一方で、正規のJASRAC使用料は年間たったの6,000円(税別)。月にすると約500円。ランチ1食分。

月500円をケチったせいで40万円以上の損害賠償──これは、知らなかった人が一番損をする典型的なパターンです。


先に結論

  • SpotifyやApple Musicの個人プランを店で流すのは著作権侵害。利用規約でも禁止されている
  • JASRACの使用料は500㎡以下で年額6,000円(税別)、月換算で約500円
  • ただしJASRAC契約だけでは音源は含まれない。CDを買うか、BGMサービスを別途契約する必要がある
  • 著作権処理済みのBGMサービスを使えば、月額550〜6,000円でJASRAC手続き不要
  • 最安は月額550円のSimple BGM。最も知名度が高いのはUSEN(月額約5,000円)

なぜSpotifyは店で使えないのか

理由はシンプル。個人向けのサブスクは、個人が自分で聴くための契約だから。

Spotifyの利用規約には「Spotifyサービスを商業的に利用することはできません」と明記されている。Apple MusicもAmazon Musicも同じ。

「でも、従業員のスマホで個人のアカウントから流してるだけだし……」

それが一番危ない。「知らなかった」は通用しない。著作権法では、営利目的の場所で音楽を流すこと自体が「公衆への伝達」に該当し、著作権者(JASRACが管理)への使用料支払いが必要になる。

著作権侵害の罰則:

  • 民事:損害賠償+差止め請求
  • 刑事:10年以下の懲役 or 1,000万円以下の罰金(またはその両方)

飲食店で実際に刑事罰まで至ったケースは多くないが、民事で損害賠償を請求されるケースは確実に増えている。JASRACは調査員を使って店舗を巡回しており、無断使用を発見すると書面で通知が届く。無視し続けると法的措置に移行する。


JASRACの使用料──実は驚くほど安い

JASRACに直接契約する場合の使用料は、面積による定額制。楽曲数に関係なく、JASRAC管理楽曲がすべて使い放題になる。

面積別の年額使用料

店舗面積年額(税別)月換算
500㎡まで6,000円約500円
1,000㎡まで10,000円約833円
3,000㎡まで20,000円約1,667円
6,000㎡まで30,000円約2,500円

個人の飲食店で500㎡を超えることはまずない。20坪(約66㎡)のラーメン店でも、50坪(約165㎡)の居酒屋でも、年額6,000円のカテゴリーに収まる。

ただし、ここに注意

JASRACに使用料を払っても、それだけでは音楽は流せない。JASRACの契約で得られるのは「著作権の許諾」だけ。音源(CD・レコード・配信音源)は自分で用意する必要がある

つまり、JASRACに年6,000円を払ったうえで:

  • 自分のCDを店で流す → OK
  • USENなどの有線放送を契約する → OK(USENが別途JASRAC処理済み)
  • Spotifyを流す → NG(SpotifyはJASRACとは関係なく、そもそも商用利用禁止)

ここを勘違いしている人がとても多い。


選択肢を全部並べて比較する

飲食店が合法的にBGMを流す方法は、大きく分けて4パターンある。

パターン1:JASRAC契約 + 手持ちのCD

項目費用
JASRAC年額使用料6,600円(税込)/ 年
CD購入費1,000〜3,000円 / 枚
機材CDプレーヤー + スピーカー
月額換算約550円 + CD代

メリット:最も安い。好きなアーティストの曲を流せる。 デメリット:曲の入れ替えが面倒。CDが減ると飽きる。J-POPの最新曲は流せるがCDを都度買う必要がある。

パターン2:商用BGMアプリ(著作権処理込み)

サービス名月額(税別)著作権処理特徴
Simple BGM550円〜込み最安。アーティスト直接許諾
BGM House990円〜込み自社制作楽曲。工事不要
BGMC Station1,078円込みカフェ系BGMに強い。YouTube「Cafe Music BGM channel」の楽曲
モンスター・チャンネル1,880円〜込み500万曲以上。業種別プレイリスト
OTORAKU(USEN系)2,980円〜込みUSENのアプリ版。自分でプレイリスト作成可

メリット:JASRAC手続き不要(サービス側が処理済み)。スマホ+スピーカーだけで始められる。曲数が豊富。 デメリット:最新のJ-POPヒット曲は一部制限あり(サービスによる)。

パターン3:有線放送(USEN等)

サービス名月額(税別)著作権処理特徴
USEN MUSIC約5,000〜6,000円込み業界最大手。500ch以上。300万曲
キャンシステム約3,000〜5,000円込みUSEN代替として根強い
らくネット690円込みインターネット有線。最安

メリット:著作権処理完全込み。業種・時間帯別にチャンネルが充実。USENはPOSレジとのセット割引あり。 デメリット:月額が高め(USENの場合)。工事が必要な場合がある。契約期間の縛りがあるサービスも。

パターン4:著作権フリー音源のみ使用

方法費用
DOVA-SYNDROME(無料素材サイト)無料
クラシック音楽の著作権切れ演奏無料
自作楽曲無料
月額0円

メリット:完全無料。JASRAC契約も不要。 デメリット:使える楽曲が限定的。「よく聞く曲」は流せない。著作権が切れていても演奏者の著作隣接権が残っている場合があるので要確認。


結局、どれを選べばいい?

店の規模と「こだわり度」で選ぶのが現実的。

判断フローチャート

Q1. BGMにいくらまでかけられる?

  • 月0〜500円 → パターン1(JASRAC+CD)or パターン4(フリー音源)
  • 月1,000〜3,000円 → パターン2(BGMアプリ)がベストバランス
  • 月5,000円以上OK → パターン3(USEN等の有線放送)

Q2. 最新のJ-POPやヒット曲を流したい?

  • はい → USEN or JASRAC契約+CD購入
  • いいえ、雰囲気に合えばOK → BGMアプリで十分

Q3. 自分でプレイリストを作りたい?

  • はい → OTORAKU、モンスター・チャンネル、BGM House
  • お任せでいい → USEN、らくネット

筆者のおすすめ

個人の飲食店なら、パターン2の商用BGMアプリが最もコスパが良い

理由:

  1. JASRAC手続きが不要(サービス側で処理済み)
  2. 月額1,000〜2,000円台で数万〜数百万曲
  3. スマホ+Bluetoothスピーカーで今日から始められる
  4. 契約期間の縛りがないサービスが多い

特に開業して間もない店は、まずSimple BGM(月550円)やBGM House(月990円)で始めて、余裕が出たらUSENに切り替えるという段階的な方法が合理的。


BGMの費用は「ランニングコスト」──経費になる

見落としがちだが、BGMの費用は事業経費として確定申告で計上できる

費用項目勘定科目備考
JASRAC使用料支払手数料 or 雑費年額一括払いの場合でもOK
BGMアプリ月額通信費 or 支払手数料毎月の引落し
USEN月額通信費有線放送扱い
CD購入費消耗品費1枚あたり10万円未満なら即経費
スピーカー購入費消耗品費 or 工具器具備品10万円未満なら即経費、以上なら減価償却

月2,000円のBGMサービスなら年間24,000円。確定申告で経費に入れれば、実質的な負担はさらに軽くなる。


「JASRACから手紙が届いた」場合の対処法

もしすでに著作権処理をせずにBGMを流していて、JASRACから通知が届いた場合。

やるべきこと

  1. すぐに無許諾のBGMを止める(Spotify、YouTube、無許諾CDなど)
  2. JASRACに連絡して、使用料の支払い手続きをする(過去分の清算を含む)
  3. 今後のBGM手段を決める(JASRAC契約+CD、または商用BGMサービス)

やってはいけないこと

  • 通知を無視する → 法的措置(調停→訴訟)に進む
  • 「うちは小さい店だから大丈夫」と思う → 店舗の大小は関係ない
  • 「前は何も言われなかった」と反論する → 過去の見逃しは将来の免罪符にならない

JASRACの通知に素直に応じれば、多くの場合は使用料の支払いだけで済む。無視して訴訟になると弁護士費用も含めて数十万円の損失になる。年6,000円で解決する話を、40万円の問題にする必要はない。


よくある誤解を整理する

誤解事実
「ラジオを流すだけなら大丈夫」ラジオの受信は著作権使用料の対象外。ただし録音して繰り返し流すのはNG
「テレビのBGMは?」テレビの受信は著作権使用料の対象外(テレビ局が処理済み)。ただしYouTubeやNetflixをテレビで流すのは別問題
「従業員が個人のスマホで聴いている」店舗の客席に聞こえる音量で流していれば商用利用。イヤホンで個人的に聴く分にはOK
「クラシック音楽なら著作権切れでしょ」作曲者の著作権は死後70年で消滅。ただし演奏者・レコード会社の著作隣接権は発売後70年残る。自分でパブリックドメインの楽譜を演奏するか、著作隣接権も切れた音源を探す必要がある
「無料のYouTube音楽を流すのは無料だからOK」無料かどうかは関係ない。営利施設での公衆伝達に該当するため著作権処理が必要

今週やるべき3つのこと

  1. 今すぐ確認:自分の店で流しているBGMの音源は何か? Spotify・YouTube・個人向けサブスクなら、今日中に止める
  2. BGMサービスを1つ選んで契約する:迷ったらSimple BGM(月550円)かBGM House(月990円)で始める。無料トライアルがあるサービスも多い
  3. 確定申告の経費メモに「BGM費用」を追加する:毎月の引落し額を記録して、来年の確定申告で漏れなく経費計上する

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よくある質問

飲食店でSpotifyやApple MusicをBGMとして流すのは違法ですか?

はい、規約違反であり著作権侵害にあたります。SpotifyもApple Musicも個人利用向けのサービスで、店舗での商用利用は利用規約で禁止されています。店舗でBGMを流すには、JASRACへの著作権使用料の支払い(500㎡以下なら年額6,600円・税込)か、著作権処理済みの商用BGMサービス(月額550〜6,000円程度)の契約が必要です。知らなかったでは済まされず、JASRACは2015年以降、全国352店舗に対して法的措置を取っています。

飲食店のBGMの著作権使用料はいくらですか?

JASRACに直接支払う場合、500㎡以下の店舗なら年額6,000円(税別)、月あたり約500円です。これは面積による定額制で、楽曲数に関係なくJASRAC管理楽曲が使い放題になります。1,000㎡以下なら年額10,000円、3,000㎡以下なら年額20,000円です。個人の飲食店(20〜30坪程度)ならほぼ確実に年額6,000円の区分に収まります。ただしJASRAC契約だけでは音源(CDや配信音源)は含まれないため、別途CDの購入や音楽配信サービスの契約が必要です。

JASRACに著作権料を払わずにBGMを流す方法はありますか?

はい、著作権フリーの楽曲を使う方法があります。具体的には、①著作権処理済みの商用BGMサービス(モンスター・チャンネル月額1,880円、BGM House月額990円、Simple BGM月額550円など)を使う、②著作権フリー音楽素材サイト(DOVA-SYNDROME等)からダウンロードする、③クラシック音楽など著作権が消滅した楽曲(死後70年経過)の演奏音源を使う方法があります。ただし③の場合でも、演奏者・レコード会社の著作隣接権が残っている音源は使えないため注意が必要です。

JASRACに無断でBGMを使った場合、どんな罰則がありますか?

民事上は損害賠償請求と差止請求、刑事上は10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(またはその両方)です。実際の事例では、2019年に福岡市の飲食チェーン(バー10店舗)がJASRACに訴えられ、約41万円の損害賠償とBGM使用の差止めを命じられています。JASRACは2015年以降3回にわたって全国一斉の法的措置を実施しており、対象は飲食店だけでなく美容室やアパレルなど幅広い業種に及んでいます。

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