ブログ

「今月もなんとかなった」──それ、経営ではなく運頼み。飲食店の年間売上計画を作ろう

月末に通帳を見て「今月は大丈夫だった」と安心する経営を続けている限り、永遠に不安は消えない。年間売上計画を作れば、閑散期の赤字も想定内。12ヶ月の売上目標・固定費・仕入れ予算を1枚の表にまとめる方法を、数字が苦手な個人飲食店オーナー向けに解説。

飲食店年間計画売上計画月別予算目標経営計画個人店2026年
目次

「今月もなんとかなった」は、来月も続くとは限らない

毎月、通帳の残高を見て安心する。「今月は大丈夫だった」

来月になって、また通帳を見る。「今月もなんとか……」

それは経営ではない。 毎月「運試し」をしているだけだ。

「来月の売上はどうなるか」「3ヶ月後に資金は足りるか」──こうした問いに答えられる飲食店オーナーは驚くほど少ない。

答えを持つための道具が、年間売上計画だ。


年間売上計画とは?──1枚の表でいい

売上目標食材費人件費固定費利益
1月200万60万50万55万35万
2月150万45万48万55万2万
3月180万54万50万55万21万
4月195万58万50万55万32万
12月250万75万55万55万65万
年間2,300万690万610万660万340万

これだけ。 12行の表を作るだけで、年間の見通しが立つ。


作り方──3ステップ

ステップ1: 月別の売上を予測する

去年の実績がある場合:

去年の月別売上をベースに、今年の予測を立てる。

去年の売上今年の調整今年の目標
1月190万+5%(値上げ)200万
2月145万+3%150万
12月240万+4%250万

去年の実績がない場合(開業1年目):

飲食店の月別指数を使って推計する。

指数想定月商200万の場合
1月100200万
2月75150万
3月90180万
4月95190万
5月90180万
6月85170万
7月90180万
8月80160万
9月85170万
10月95190万
11月100200万
12月125250万

12月が最高で2月が最低。この波を事前に知っているか知らないかで、資金繰りの安定度がまったく違う。

ステップ2: 月別の費用を見積もる

固定費は毎月ほぼ同じ。 変わるのは食材費(売上連動)と人件費(繁忙期のシフト増)。

費目計算方法
食材費売上 × 原価率(30%なら売上の30%)
人件費固定分 + 繁忙期の追加シフト
家賃毎月同じ
光熱費夏・冬は高め、春・秋は低め
その他固定費毎月同じ

ステップ3: 利益を計算する

利益 = 売上 − 食材費 − 人件費 − 固定費

赤字の月があっても焦らない。 年間でプラスなら問題ない。2月に2万円の利益しか出なくても、12月に65万円の利益が出れば年間ではプラスだ。

ただし、赤字の月に手元資金がショートしないように備えておくこと。 これが年間計画の最大の価値。


毎月5分の振り返り──計画vs実績

毎月末に、実績を計画の横に書く。

計画実績達成率メモ
1月200万195万98%○ ほぼ計画通り
2月150万130万87%△ 雪の日が多かった
3月180万190万106%○ 歓送迎会で上振れ

5分で終わる。 でもこの5分の積み重ねが、1年後の経営判断力を大きく変える。

達成率の判断基準

達成率判定アクション
95%以上計画通り。このまま継続
85〜95%原因分析。一時的か構造的かを判断
85%未満即座に対策。翌月の計画を修正

年間計画があると変わること

「閑散期が怖くなくなる」

計画があれば、2月の売上減は想定内。繁忙期(12月)に多めに利益を確保しておく判断ができる。

「設備投資の判断ができる」

「新しい冷蔵庫を買いたい」──いつ買うべきか? 年間計画を見れば、利益が出る月の後に買うという判断ができる。

「融資が通りやすくなる」

年間計画を持っている=「この人は数字で経営を管理している」。金融機関の信頼を得やすい。

「心の余裕が生まれる」

「来月は大丈夫かな……」という漠然とした不安が、「来月は計画では170万円。達成のために○○をやる」という具体的な行動に変わる。


今すぐやること

  • 過去12ヶ月の月別売上をまとめる(レジデータ or 通帳)
  • 来年度(次の12ヶ月)の月別売上目標を設定する
  • 月別の費用(食材費、人件費、固定費)を見積もる
  • 各月の利益予測を計算する
  • 赤字になりそうな月があるか確認する
  • 赤字月に備えて、繁忙期の利益をストックする計画を立てる

年間計画は、1時間で作れる。 そして、その1時間が、12ヶ月の経営を変える。


KitchenCostは、日々の食材費と原価率を記録するアプリです。毎月の食材費が自動で集計されるので、年間計画の「実績」欄に入力するデータが簡単に手に入ります。計画と実績のギャップを見るのが、経営改善の第一歩です。

よくある質問

個人飲食店に年間計画は必要ですか?

はい、必要です。年間計画がないと①閑散期の資金ショートを予測できない、②仕入れや人件費の予算感がわからない、③『今月は良かった・悪かった』しか言えず改善できない──という状態が続きます。年間計画は難しいものではなく、月別の売上予測と費用予測を表にしたもの。1時間で作れます。これがあると、『2月は売上が落ちるから1月のうちに○○万円を確保しておこう』という判断ができるようになります。

売上の月別予測はどうやって立てますか?

3つのデータを使います。①去年の月別売上実績(最も重要。前年同月をベースにする)、②業界の月別指数(飲食業は12月が最高、2月が最低で2〜3割の差がある)、③今年の特殊要因(近くに新店がオープン、イベントがあるなど)。去年のデータがなければ、最初の1年は毎月の売上を記録して翌年の計画に使う。記録がなければ予測はできない。まずは記録から始めましょう。

計画と実績がずれたらどうすればいいですか?

ずれるのは当たり前です。大事なのは『ずれた原因を分析し、翌月の計画を修正する』こと。毎月末に5分で確認。売上が計画の90%以上なら○、80〜90%なら△で原因分析、80%未満なら×で即座に対策。対策は2パターン:①売上が下がっている→集客施策(SNS、チラシ、LINE)を強化、②費用が上がっている→仕入れ見直し、シフト調整。計画はあくまで「基準値」であり、完璧な予測ではありません。

融資を受けるときに年間計画は必要ですか?

ほぼ必須です。日本政策金融公庫や信用金庫の融資審査では、事業計画書の中に年間の売上見込みと費用計画を求められます。年間計画がある=『この経営者は数字で事業を管理している』と判断され、審査にプラスに働きます。逆に、年間計画がない状態で融資を申し込むと、『場当たり的な経営をしている』と見なされるリスクがあります。融資のためだけでなく、自分の経営判断のためにも年間計画は作っておくべきです。

今すぐ原価を計算してみましょう

材料単価を入力するだけで、レシピ原価・利益率・販売価格を自動計算します。