「材料費が上がってるのは分かってる。でも値上げを言い出せない。」
個人ネイルサロンを運営している方から、何度も聞く言葉です。技術に自信はある。お客さまとの関係も大切にしたい。だからこそ、価格の話は切り出しにくいですよね。
でも、数字を見れば「値上げ」ではなく「適正価格への調整」だと分かるはずです。
先に結論
- 材料費だけでなく、決済手数料と施術時間のコストも原価に入れる
- 全メニュー一律ではなく、負担が大きいメニューから先に調整する
- 告知文は短くていい。開始日・対象メニュー・理由の3点だけ
いま価格を見直すべき理由
2024年の美容室倒産は197件で過去最多を更新しました(帝国データバンク)。最低賃金は全国加重平均1,118円(厚生労働省)。
コストが上がり続ける中で、以前の価格のまま続けることの方がリスクです。
原価計算に使う3つの式
1施術原価 = 材料費 + 消耗品費 + 決済手数料 + 施術時間コスト
1施術粗利 = 施術価格 - 1施術原価
時間あたり粗利 = 1施術粗利 ÷ 施術時間(時間)
「施術時間コスト」は、自分の時給を設定して計算します。時給2,000円なら、1.5時間の施術で3,000円です。
具体例(ワンカラーの場合)
- 施術価格: 6,500円
- 材料費: 780円
- 消耗品費: 220円
- 決済手数料: 195円
- 施術時間: 1.5時間
- 施術時間コスト: 3,000円(時給2,000円で計算)
1施術原価 = 780 + 220 + 195 + 3,000 = 4,195円
1施術粗利 = 6,500 - 4,195 = 2,305円
時間あたり粗利 = 2,305 ÷ 1.5 = 1,536円
時間あたり粗利が1,536円。自分の目標が時給2,000円なら、この価格では足りていないことが数字で見えますね。
値上げの進め方
- 売上上位3メニューの時間あたり粗利を計算する
- 目標を下回っているメニューだけ候補にする
- +300円〜+500円の範囲で試算する
- 2〜4週間前に案内を出す
ポイントは、全メニューを一度に上げないこと。お客さまから見て「一部だけの調整」の方が受け入れやすいです。
そのまま使える告知テンプレート
いつもご利用ありがとうございます。材料費・運営コストの上昇に伴い、4月1日より一部メニューの価格を改定いたします。対象メニューと新価格は予約ページに記載しております。今後も技術と品質の維持に努めてまいります。
長い説明は不要です。シンプルに、誠実に伝えれば十分。
やりがちな失敗
材料費だけで価格を決める。決済手数料と施術時間のコストを入れないと、実態より利益が多く見えてしまいます。
理由を言わずに値段だけ変える。お客さまは「なぜ上がったのか」が分からないと不信感を持ちます。
全メニュー同時に同じ幅で上げる。負担感が一気に大きくなります。
今日やること
- 売上上位3メニューの1施術原価を計算する
- 時間あたり粗利を出す
- 価格調整の候補を2メニューに絞る
- 告知文を3行で作る
- 実施日をカレンダーに入れる
まとめ
値上げは、お客さまに負担を押しつけるものではありません。サービスを続けるための調整です。
まずは3メニューだけ計算してみてください。数字が見えると、「上げるかどうか」の迷いは「いくら調整するか」の判断に変わります。
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