週末は満席なのに、月末の通帳が軽い。 この状態、原因は「忙しさ不足」ではなく「人件費率の見えなさ」で起きることが多いです。
2026年の日本では、ここを感覚で運営するとしんどくなります。
先に結論
- 人件費率は月次だけでなく、週次で追うと手遅れを防げます。
- 「時給」だけ見ても不十分で、
総労働時間(人時)を一緒に見ないと改善できません。 - 人件費率の最終判断は、
FL比率とセットで行うのが安全です。
2026年に人件費率が重くなる理由
厚生労働省の2025年9月5日公表資料では、令和7年度の地域別最低賃金の全国加重平均額は1,121円です。
前年度1,055円から+66円、しかも47都道府県すべてで引き上げとなりました。
さらに、帝国データバンクの2026年1月13日公表では、2025年の飲食店倒産は900件で過去最多です。
小規模倒産(負債5,000万円未満)が696件(77.3%)を占めていて、規模の小さい店ほどコスト変動に弱いことが見えています。
まずこの式だけ覚えれば十分
人件費率(%) = 人件費 ÷ 売上 × 100
ここでいう人件費は、給与だけでなく法定福利費や各種手当を含めた実支出ベースが実務向きです。
同時に、店の体力を見るためにこの式も一緒に使います。
FL比率(%) = (食材費 + 人件費)÷ 売上 × 100
66円アップがどれだけ効くか
前提をシンプルに置きます。
- スタッフ: 5人
- 1日勤務: 5時間
- 営業日: 月25日
- 時給上昇: +66円
追加人件費 = 66円 × 5人 × 5時間 × 25日
= 41,250円 / 月
月4万円超は、小さな店ならそのまま営業利益を削る規模です。 「売上が増えれば吸収できるはず」と放置すると、忙しいのに残らない状態に入りやすくなります。
目安は「単独の正解」より「崩れ方」を見る
業態で適正値は変わるので、1本の正解はありません。 まずは下のレンジを仮目標にして、前週比で悪化していないかを見ます。
| 業態 | 人件費率の目安レンジ | 見るべき補助指標 |
|---|---|---|
| カフェ | 25〜32% | 客単価、ピーク時間の回転 |
| 定食・食堂 | 28〜35% | 提供時間、仕込み人時 |
| 居酒屋 | 27〜34% | 深夜帯の人時売上 |
※レンジは実務運用用の目安です。最終判断はFL比率と営業利益で行います。
週10分で回す運用手順
1. 週売上と週人件費を同じ期間で集計
月末だけの集計だと、修正が1か月遅れます。 毎週同じ曜日に固定して更新すると、判断がぶれません。
2. 人時売上を一緒に出す
人時売上 = 売上 ÷ 総労働時間
人件費率が悪化した週に、人時売上も落ちていればシフト設計の問題。 人時売上が維持されていて人件費率だけ悪化なら、価格や原価側の問題が濃くなります。
3. 施策は1週間に1つだけ
- 低売上時間帯の人員を0.5〜1人時調整
- 仕込み工程を前倒ししてピーク人員を削減
- 提供が遅いメニューの導線を整理
1つずつ動かすと、何が効いたかを判断できます。
すぐ使える週次チェックリスト
- 週売上と週人件費を同期間で記録した
- 人件費率を前週比で確認した
- 人時売上を計算した
- FL比率で最終判定した
- 来週の改善施策を1つだけ決めた
まとめ
2026年の人件費管理は、「削る」より「見える化して早く直す」が勝ち筋です。
最低賃金の上昇は止められません。 だから、週次で人件費率を見て、次の週で修正する。 この習慣が、小さな店の利益をいちばん守ります。