金曜の夜、カウンターで常連さんが言った。 「お通し代、最近どこも取らなくなったよね」
聞き流したけど、ちょっと引っかかった。 うちも、そろそろ考え直す時期かもしれない。
先に結論
- お通しを続けるか廃止するかは「感覚」ではなく「1人あたり粗利」で判断する
- やめるなら、代わりにどこで粗利を回収するか先に決めておく
- いきなり全日変更せず、2週間テストが安全
2026年、なぜ今見直すのか
2026年2月だけで飲食料品の値上げは674品目。そのうち酒類・飲料が298品目と最多です(帝国データバンク)。 値上げの要因として「人件費」を挙げた企業は66.2%。
2025年の飲食店倒産は900件で過去最多。 価格転嫁率(コスト上昇をどれだけ売価に反映できたか)は**32.3%**で、全業種平均39.4%より低い。
お通し1品の判断も、こうした数字の中で考える必要があります。
5分で計算する
1人あたりお通し原価 = 食材費 + 提供人件費 + 廃棄分
1人あたりお通し粗利 = お通し価格 - 1人あたり原価
月間お通し粗利 = 1人あたり粗利 × 月間来店人数
例
- お通し価格: 450円
- 食材費: 120円 / 提供人件費: 35円 / 廃棄分: 15円
- 月間来店: 1,200人
1人あたり原価 = 120 + 35 + 15 = 170円
1人あたり粗利 = 450 - 170 = 280円
月間粗利 = 280 × 1,200 = 336,000円
この店が代替策なしでお通しを廃止すると、月33.6万円の粗利に穴が開く計算です。 「やめたい」と思っても、この穴をどう埋めるかを先に考えないと危ない。
やめる前に決めておく3つ
- 代替回収: ドリンク値上げ? 席料新設? セットメニュー化?
- 対象: 全日? それとも平日だけ試す?
- 告知: 店内POP・SNS・予約画面を同時に更新する
この3つを決めずに廃止すると、客単価だけが下がって終わります。
告知の書き方(短く)
いつもありがとうございます。
◯月◯日より、お通しの提供内容を変更いたします。
詳細は店内案内をご確認ください。
長い説明より、短く統一した文面の方が現場のトラブルは減ります。
今週やること
- お通しの1人あたり原価を計算する
- 月間粗利を出す
- 廃止した場合の代替回収案を1つ決める
- 平日限定で2週間テストする
- テスト期間中、客数と客単価を毎日記録する
まとめ
お通しの続け方・やめ方に正解はありません。 ただ、「粗利の穴がいくらか」を知らないまま廃止するのは危ない。
先に数字を出して、次に回収策を決める。 この順番さえ守れば、どちらに転んでも大きなダメージは避けられます。