原価率計算アプリを開いて、数字を見て——
「うちのカレー、原価率33%か。うーん……」
で、閉じる。
翌週も同じことをする。数字は見えているのに、その先の判断ができない。 実はこれ、アプリを入れた飲食店で最も多いパターンです。
原価率計算アプリの本当の価値は「何%かわかること」ではありません。**「次にどの商品をいくら上げるか、決められること」**です。
先に結論
- 原価率計算アプリは「計算ツール」ではなく「判断ツール」として使う
- 原価率だけでなく粗利額をセットで見る。率が同じでも、残る金額は全然違う
- 値上げ対象は「悪化幅×販売数×粗利の薄さ」で3つに絞る
なぜ「見るだけ」で終わるのか
理由は3つあります。
1)原価率しか見ていない
原価率30%と表示されて「まあ許容範囲か」と思ってしまう。でも——
800円の商品 × 原価率30% = 原価240円、粗利560円
500円の商品 × 原価率30% = 原価150円、粗利350円
同じ30%でも1品あたりの粗利が210円も違う。粗利額を見ないと、「安い商品の方が利益が出ている」と錯覚してしまいます。
2)全メニュー同時に対応しようとする
50品のうち原価率が上がっている商品が15品ある。全部同時に値上げしようとすると、いつまでも決まらない。
3)値上げ後の影響が怖くて動けない
「客が減ったらどうしよう」——気持ちはわかります。でも2025年の飲食店倒産は1,002件で過去最多。値上げしないリスクの方が、値上げするリスクより大きい環境です。
値上げ判断の3ステップ
ステップ1:入力する(15分)
- 仕入れ上位10食材の最新単価を更新する
- 売上上位5品のレシピが登録済みか確認する
食材の単価さえ最新にすれば、レシピの原価率は自動で変わります。
ステップ2:確認する(5分)
各商品について、この2つを見ます。
原価率 = 1品原価 ÷ 売価 × 100
粗利額 = 売価 - 1品原価
そして前回確認時からの変動幅を出します。
原価率変動 = 今回の原価率 - 前回の原価率
+3pt以上の変動がある商品をリストアップ。
ステップ3:判断する(10分)
リストアップした商品を、3つの指標で優先順位をつけます。
| 指標 | 重み | 見方 |
|---|---|---|
| 原価率の悪化幅 | 高 | +3pt以上は優先 |
| 月間販売数 | 高 | 売れている商品ほどインパクト大 |
| 粗利額の薄さ | 中 | 粗利300円以下は要注意 |
3条件が重なる商品 = 放置すると損失が最も大きい商品です。ここから値上げを検討します。
具体例
商品A: 原価率28%→33%(+5pt)、月300食、粗利470円 → 優先度: 高
商品B: 原価率25%→27%(+2pt)、月100食、粗利600円 → 優先度: 低
商品C: 原価率32%→36%(+4pt)、月200食、粗利380円 → 優先度: 高
AとCから手をつけます。Bは粗利もあり変動幅も小さいので後回しで構いません。
値上げ幅の決め方
値上げ対象が決まったら、いくら上げるかを決めます。
値上げ額 = 原価の増加額 ÷ (1 - 目標原価率)
たとえば、原価が30円上がっていて、目標原価率30%を維持したいなら——
30円 ÷ (1 - 0.30) = 約43円 → 50円刻みに丸めて+50円
端数は50円か100円刻みに丸めてください。 中途半端な値上げは「計算して上げてる感」が出て、お客さんの心理的抵抗が大きくなります。
値上げ後の2週間チェック
値上げ後にやるべきことは1つ。実施後2週間の客数と客単価を追いかける。
- 客数が5%以上減っていなければ成功
- 客単価が上がっていれば確実に成功
- 客数が10%以上減っていたら、価格以外の要因(季節、天候、近隣イベント)も確認
今週やること
- 仕入れ上位10食材の単価を最新にする
- 売上上位5品の原価率と粗利額を確認する
- 前回比+3pt以上の商品をリストアップする
- 3指標で値上げ優先度を判断する
原価率計算アプリは、数字を「見る」道具ではなく「判断する」道具です。見るだけで終わっていたら、使い方を変えてみてください。
KitchenCostなら、レシピごとの原価率と粗利額が一覧で見えます。仕入値を更新するだけで、値上げすべき商品が数字でわかります。