家族で店を回していると、いちばん後回しになるのが人件費です。 「家族だから無料で手伝ってる」という状態、気持ちは分かります。
ただ、経営数字としてはここを抜くと危険です。 同じ売上でも、家族労働を入れた瞬間に赤字になるケースは珍しくありません。
先に要点
- 家族経営でも、人件費は原価管理に入れたほうが安全です。
- まずは最低賃金ベースで仮置きし、実態に合わせて調整します。
- 「会計処理」と「経営判断」の数字は分けて持つと迷いません。
なぜ今このテーマが重要か(2026-02-17確認)
- 2025年度の最低賃金の全国加重平均は1,121円(厚生労働省、2025-09-05公表)。
- 2025年の飲食店倒産は900件(帝国データバンク、2026-01-13公表)。
- 価格転嫁率は53.5%で、上がったコストを全額価格に乗せるのは難しい状況(経済産業省、2025-11-28公表)。
- Yahoo!知恵袋でも「家族経営で利益が出るのか」「人件費をどう考えるか」という相談が継続しています。
まずこの考え方だけ
- 会計処理: 家族への給与をどう処理するか
- 経営判断: 家族の労働をいくらで評価するか
この2つを分けます。
かんたん計算式
家族労働コスト = 家族の実働時間 × 基準時給
FLコスト = 食材費 + 人件費(家族分を含む)
ここでいうFLコストは、食材費と人件費を足した指標です。
5分の実例
前提:
- 夫婦2人で運営
- 1日実働: 夫10時間、妻8時間
- 基準時給: 1,121円
家族労働コスト(1日)
= (10 + 8) × 1,121
= 20,178円
月24日営業なら:
20,178 × 24 = 484,272円
この48万円を入れずに黒字判断していた場合、 「黒字だと思っていたのに、実は薄利だった」が起きます。
失敗しやすいポイント
- 家族分を0円にして、価格改定が遅れる
- 人件費率だけ見て、FLコストを見ない
- 忙しさで実働時間を記録しない
今週の運用ルール
- まずは家族全員の実働時間を1週間だけ記録する
- 時給は最低賃金で仮置きし、3か月後に見直す
- 月次でFLコストを出し、60%を超えたら対策会議をする
- 売上上位3品の価格を「家族労働込み」で再計算する
まとめ
家族経営の強みは、意思決定が速いことです。 だからこそ、家族労働を数字に入れた店ほど立て直しが早いです。