閉店1時間前、トレーにパンが残ると焦りますよね。
「半額にするしかないか…」となりやすいんですが、ここを感覚で回すと利益が残りません。
結論から言うと、
値引き率より先に“下限の売価”を決めるのが近道です。
この線さえ決まれば、値引きも廃棄もブレにくくなります。
先に要点
- 値引きは「何%か」ではなく、「下限の売価を割っていないか」で判断します。
- 閉店前の運用は、1回の大幅値引きより、段階値引き(10%→20%→30%)が安定しやすいです。
- 2週間だけでも記録を取ると、店ごとの最適ラインが見えてきます。
いま見直しが必要な背景(2026-02-17確認)
- 帝国データバンク公表(2026-01-13): 2025年の飲食店倒産は900件(過去最多)。
- 同資料: 飲食店の価格転嫁率は32.3%(全業種平均39.4%)。
- 帝国データバンク公表(2026-01-30): 2026年2月の食品値上げは674品目、平均16%。
- 厚生労働省公表: 最低賃金の全国加重平均は1,121円(前年度比+66円)。
材料費も人件費も上がる中で、
「売れ残りをどうさばくか」は、毎日の利益に直結します。
コミュニティで実際に多い悩み
Yahoo!知恵袋でも、次の相談が目立ちます。
- 「個人経営のパン屋、売れ残りそうなら半額処分するべき?」
- 「売れ残りパンを翌日に回すことはある?」
- 「閉店間際にまだ大量に残っている。どう処理している?」
- 「値引きされたパンは味が落ちているの?」
つまり、みんな同じところで迷っています。
迷いどころは「値引き率」より、値引き開始の設計です。
難しい言葉を先にやさしく
- 原価: パンを作るのにかかったお金(材料費など)
- 下限売価: ここより下げると赤字になりやすい価格
- 段階値引き: 時間や残数に合わせて、値引きを少しずつ強めるやり方
まず決める「下限売価」
まずは、1個あたりの下限売価を出します。
下限売価 = 材料費 + 包装費 + その商品にかかった変動人件費
次に、通常売価から「何%まで下げられるか」を計算します。
許容値引き率(上限) = 1 - (下限売価 ÷ 通常売価)
実例: 塩パン30個が閉店前に残りそうな日
前提(1個あたり):
- 通常売価: 220円
- 材料費: 82円
- 包装費: 3円
- 変動人件費: 28円
- 下限売価: 113円
この商品の許容値引き率は、
1 - (113 ÷ 220) = 48.6%
なので、50%引きは下限を割る可能性が高いです。
同じ日で、運用を比べるとこうなります(製造30個想定)。
| パターン | 値引き | 販売数 | 単価 | 回収額 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | なし | 8個 | 220円 | 1,760円 | 不足 |
| B | 20% | 22個 | 176円 | 3,872円 | 余裕あり |
| C | 30% | 25個 | 154円 | 3,850円 | 余裕あり |
| D | 50% | 29個 | 110円 | 3,190円 | 下限割れリスク |
この日の変動費合計は
(82+3+28) × 30 = 3,390円 です。
ポイントはシンプルです。
深い値引きが、いつも正解ではないんですよね。
値引き率より効くのは「開始時間」
同じ20%引きでも、開始が遅いと売り切れません。
最初は次の形で十分です。
| タイミング | 条件(目安) | アクション |
|---|---|---|
| 閉店90分前 | 残数が想定より多い | 10%引きを開始 |
| 閉店60分前 | まだ残数が高い | 20%引きに変更 |
| 閉店30分前 | 6個以上残る見込み | 30%引きかセット販売 |
「毎日19:00から値引き」の固定より、
残数ベースのほうが実運用で強いです。
すぐ回せる4ステップ
- 売れ筋3商品だけ、下限売価を計算する
- 値引きルールを3段階で決める(10%/20%/30%)
- 2週間、各段階の販売数と廃棄数を記録する
- 回収額が最大だった時間帯ルールを残す
最初から全商品でやらなくて大丈夫です。
3商品だけでも、手応えが出ます。
よくある失敗
- いきなり半額を打つ
- 全商品を同じ値引き率にする
- スタッフに口頭だけで伝えて、基準がずれる
この3つを避けるだけで、ブレはかなり減ります。
今週のチェックリスト
- 売れ筋3商品の下限売価を出した
- 10%/20%/30%の段階値引きルールを決めた
- 「閉店何分前」ではなく「残数条件」を決めた
- 2週間の記録シートを用意した
- 見直し日をカレンダーに入れた
まとめ
パン屋の売れ残り対策は、
気合いより「線引き」で安定します。
下限売価を決めて、段階値引きを回す。
これだけで、廃棄も赤字も同時に下げやすくなります。